あぶくま抄・論説

あぶくま抄

あきらめない(2月11日)

 二十年前、バリアフリーという言葉はまだ一般的でなかった。伊達市梁川町の民家で、車椅子の男性は取材に対してはっきりと答えた。「重度の障害者でも、その気になれば海外旅行はできる」。話に思わず引き込まれた。 男性は佐藤孝浩さん。一九八九(平成元)年、...[記事全文

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思い出紡いだ信夫山(2月10日)

 埼玉県で暮らす専門学校二年の女子学生は、旅行のため飛行機に乗った。東京の羽田空港から北海道に向かう。雲はなかった。離陸して二十分ほどで、盆地の真ん中に小島のような形を見つけた。信夫山と、すぐに分かった。 福島市で育った。四月から都内の会社に勤め...[記事全文

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厄年と洗剤(2月9日)

 厄年[やくどし]を迎えた人が年齢の数の食器用洗剤をそろえ、親類や知人に贈る風習がある。福島市をはじめとした県北地方などでは、今頃の時期によくみられる。「厄を洗い流して」と願いを込める。 特設のコーナーを設ける店がある。「お歳暮」「お中元」と同じ...[記事全文

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理科室の好きな少年(2月8日)

 いわき市に生まれた少年は小学校の理科室にたびたび駆け込んだ。教師に勧められ、子どもでも作れるラジオを組み立てる。聞いたことのない海外の言葉に触れるのが楽しい。ものづくりのとりこになった。 高校を卒業し、大手電機メーカー系の企業に勤めた。肩掛け式...[記事全文

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伊達のおにぎり(2月7日)

 従業員向けの「まかない飯」から人気のおにぎりが生まれた。大粒の鶏モモ肉を甘めのたれで煮る。ご飯を麺つゆで炊いて、具が見えるように包み込む。かむほどに、うま味が広がる。 伊達市梁川町のまちの駅やながわが活気づく。伊達物産の「肉ゴロッとおにぎり」を...[記事全文

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風呂敷の力(2月6日)

 いわき市の呉服処[どころ]根本店主の根本紀太郎さんが風呂敷を巧みに結ぶ。おしゃれな手提げバッグが出来上がる。使い方を手ほどきする出前講座を受け持つ。受講生は布の力に気付く。 一辺四十五センチの「中幅[なかはば]」から二メートル三十八センチの「七...[記事全文

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嵐が来た(2月5日)

 五人の訪問は限られた人にしか知らされていなかった。「嵐が来た」。食堂で店自慢の五目うどんを食べた。「震災のときは大変だったでしょう」。メンバーは気軽に声を掛けた。飯舘村の住民と心をつなぐ。その映像が昨年の大みそかのNHK紅白歌合戦で流れた。 原...[記事全文

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夢に向かう(2月4日)

 三人そろって関取になる。兄弟は幼い頃に立てた誓いを追い続ける。福島市出身の大波渡[わたる]さん、港[みなと]さん、渥[あつし]さん。ライバルとして、よき理解者として相撲道を歩む。 若隆元[わかたかもと]、若元春[わかもとはる]、若隆景[わかたか...[記事全文

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苦しい決断(2月3日)

 福島市郊外に住む七十七歳の男性は昨年三月、車の運転免許を自主返納した。家族に勧められた。お年寄りの事故のニュースも気になる。「取り返しのつかない事故を起こす前に」と決めた。 いわき市の八十九歳の男性は、まだ免許を手放す気になれない。週二、三日は...[記事全文

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主役になったネギ(2月2日)

 会津若松市芦ノ牧温泉の食堂DECCORA(デッコラ)は季節限定の献立を提供している。「会津とろねぎ天丼」。ふっくらの白米に、斜め切りにした長ネギの天ぷらを山のように盛る。カリカリの食感に続き、とろりとした甘みが口に広がる。 市内の若手農業者がネ...[記事全文

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