あぶくま抄・論説

あぶくま抄

思慮(9月3日)

 福島市の「こむこむ」前に置かれた子どもの像が波紋を広げた。防護服姿で、胸に付く線量計を模した数値はゼロを示す。現代アート作品「サン・チャイルド」である。「さらなる風評を招く」「復興のシンボルになる」。賛否の声が相次いだ。 設置場所への疑問もあっ...[記事全文

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土湯温泉の化石(9月2日)

 福島市の土湯温泉は標高四百メートルほどの山あいにある。かつては海の底だった。多くの魚や動物がすんでいたのだろう。七十年前に見つかった痕跡が太古の情景への思いをかき立てる。 絶滅哺乳類「パレオパラドキシア」は、二千三百万年前から一千万年前にかけて...[記事全文

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身勝手な言い訳(9月1日)

 公務員は「原則として」や「例外」の言葉を、都合よく使いこなす術[すべ]を心得ているらしい。国と地方の役所が、職場で働く障害者の人数を多く見せかけたり、誤って数えたりしていた。言い訳には身勝手さがにじむ。 企業は数値を達成できなければ、納付金を支...[記事全文

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使命(8月31日)

 富士の裾野を戦車が駆ける。「斉射用意、撃て」。激しい発射音が夏の空気を震わす。「弾着、今」。遠くに命中の土煙が上がる。陸上自衛隊の総合火力演習が二十六日、静岡県内で繰り広げられた。 最大規模の実弾訓練で、本県出身者を含む二千四百人の隊員が参加し...[記事全文

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白河提灯まつり(8月30日)

 一九二八(昭和三)年九月十四日付の本紙に白河市の鹿嶋神社祭礼「白河提灯[ちょうちん]まつり」の記事が載る。〈手ちがいでもあったものなら、それこそ上を下への大乱闘化す、これ喧嘩[けんか]祭りの称ある故である〉。 祭りは二年に一度、開催される。今年...[記事全文

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若い才能の芽(8月29日)

 今夏の甲子園決勝で秋田・金足農の吉田輝星投手は途中降板する際、代わった投手に声を掛けた。その言葉から取った本紙の見出し「吉田『俺はもう無理』」に、読者から指摘を受けた。 「秋田県民が見たら、どう思うか」「同じ東北の地方紙として、もっと愛情をもっ...[記事全文

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南郷トマト(8月28日)

 平成の大合併で県内の市町村数は九十から五十九に減った。多くの地名が消えた。古里を失うような思いを巡らせた人は少なくない。今となれば、新しい地名も定着した。それでも旧地名がしっくりする時がある。 合併で南会津町に組み込まれた旧南郷村に再び光が当た...[記事全文

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四番力のススメ(8月27日)

 イラストレーターの安西水丸[あんざいみずまる]さんの造語に「四番力」がある。著書「水丸劇場」(世界文化社)で強調した。一番でないと気が済まない人に好感を抱かない。頂上を狙うナンバー2や三番手とは一線を画す。きらりと光る個性を備えつつ、四番目あたりに控え...[記事全文

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女子大生の思い(8月26日)

 女性を復興の担い手とする県の取り組みが動きだした。県内の主婦や会社員、地域おこし協力隊員ら十四人が集う。避難地域の中でも富岡町に焦点を当てた。視察や住民との交流を通して、被災地の今を学ぶ。 メンバーになった女子大生は富岡を古里と慕い、再生を願う...[記事全文

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木簡発見から10年(8月25日)

 <安積山影さへ見ゆる山の井の浅き心をわが思はなくに>。「安積香山」とも記される。郡山市ゆかりとされ、市民は「安積山」で親しむ。「安積山の歌」として万葉集の歌に収まる。滋賀県の宮町遺跡で出土した木簡にも残されていた。十年前になる。 遺跡は聖武[し...[記事全文

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