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7割強解体されず 避難区域の被災家屋

 東京電力福島第一原発事故に伴い、国が避難区域を対象に行っている被災家屋の解体事業で未完了の建物が多く、住民帰還への影響が懸念されている。1月8日現在、取り壊しの申請7670件に対し、7割強の5780件が解体されていない。環境省は従来の申請順を変更し、帰還希望者を優先する方向で検討に入った。

■南相馬は完了3割
 避難区域内で実施している被災家屋解体の市町村別状況は【表】の通り。帰還困難区域を除き今春の避難指示解除を目標としている南相馬市は2600件の申請のうち、解体済みが820件と約3割にとどまっている。未完了は1780件もある。
 今春以降の解除を目指す川俣町で作業を終えたのは2割弱、帰還困難区域を除き今春の帰還開始を目標とする葛尾村では1割にも届いていない。一方、田村市と川内村は全て終了した。
 環境省は解体済みの件数が申請件数に追い付かない理由に、所有者の確認や現地調査、事業費の算定などに時間を要する点を挙げる。さらに平成26年3月から地震・津波による損壊に加え、長期避難による雨漏りなどで荒廃した家屋も対象に追加したため、申請件数が急増したという。

■帰りたいのに
 避難者からは解体作業の迅速化を求める声が上がる。南相馬市小高区から新地町に避難している運転手鈴木友矢さん(67)は昨年8月に自宅の取り壊しを申し出た。現在も順番待ちが続く。「解除されたらすぐにでも小高に帰りたいが、解体されないと入居する家の建て替えもできない」と焦りを見せる。
 一方、政府は29年3月までに避難指示解除準備、居住制限両区域を解除する方針を示している。鈴木さんは「生活環境が整わないのに、国は解除の時期ばかり先に決める。矛盾を感じる」と語気を強める。

■態勢強化を
 県は家屋の解体作業の加速化に向け、環境省に現地調査や算定作業の担当職員の増員などを求めている。所有者確認などの手続きの簡素化も訴える。
 これに対し環境省は態勢強化を検討するが、大幅な増員は見込めず、解体順の変更で帰還希望者に対応する。今後、市町村から住民の情報提供を得られるかなどの確認を進める。福島環境再生事務所の担当者は「早く帰りたい住民の希望に沿えるよう、柔軟に対応したい」としている。

※国直轄の被災家屋の解体作業
 放射性物質汚染対処特措法に基づき、環境省が廃棄物の処分などを実施する必要があると指定した対策地域(楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村の全域、田村市、南相馬市、川俣町、川内村の旧警戒区域や旧計画的避難区域)を対象に行っている。全額国費負担となる。

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