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生業訴訟 地裁が浪江、双葉、富岡被害の実態把握

 東京電力福島第一原発事故の被災者でつくる「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟原告団」が国と東電に慰謝料などを求めた訴訟で、福島地裁は17日、被害実態を確認するため浪江、双葉、富岡3町で原告の自宅などを検証(現地調査)した。原発事故に関する訴訟で検証を行うのは初めて。得られた資料は裁判の証拠となり、判決にいかに反映されるか注目される。
 検証は民事訴訟法に基づく証拠調べの手続きの一つで、裁判官が法廷を出て直接現状を調査する。これまで大規模な公害訴訟などで実施されてきた。
 前例のない原発事故の被害は広範囲にわたる。避難生活が長期化する中、仕事を失ったり、体調を崩したりするなど住民にさまざまな影響が出ている。こうした点を踏まえ、原告弁護団は原発事故の多様な被害実態を把握するには検証が必要だと、福島地裁に申し立てていた。
 原告団は県内外の約3900人に上り、国内の原発事故関連訴訟で最も多いという。福島地裁は原告の訴える被害の内容が異なるため、代表的な事例を抽出し、現地に出向いて聞き取り調査する必要があると判断した。
 17日の検証は浪江町立野の畜産農家佐藤貞利さん(68)の自宅と畜舎(居住制限区域)、双葉町長塚の元会社経営福田祐司さん(67)の自宅(帰還困難区域)、富岡町夜の森の女性宅(居住制限区域)が対象となった。いずれの現場でも本人が金沢秀樹裁判長と西村康夫、田屋茂樹両裁判官に被害の内容や避難後の生活などを説明した。原告、被告双方の弁護団が同行した。
 福島地裁が避難区域内で検証を行ったことに、県内の法曹関係者からは「原発事故の被害を捉えるために、地裁は踏み込んだ判断をした」とする評価する意見が出る一方、「検証したからといって原告側に良い判決が出るとは限らない」と冷静に受け止める声も聞かれた。
 原告弁護団は原発事故関連の他の訴訟でも検証が採用されるよう期待した。

■今後、福島の仮設でも検証

 福島地裁は今後、避難生活の実態を把握するため福島市の仮設住宅などでも検証を行う方針だ。

※生業を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟原告団の訴訟 平成25年3月、被災者約800人が原告となり福島地裁に提訴した。その後、4次提訴まであり、原告数は合わせて約3900人となった。国と東電に対し原発事故前の放射線量に戻し、一人当たり月額5万円の慰謝料を支払うよう求めている。これまで16回の口頭弁論があり、原告の本人尋問などを行った。

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