県内ニュース

主要

  • Check

帰還へ期待と懸念 営農再開道険しく 飯舘村避難指示来年3月末解除

 飯舘村が帰還困難区域を除く避難指示の解除を来年3月末と示した23日、避難中の村民からはようやく見えた帰還時期を前向きに受け入れる声が上がる一方、完了時期が解除目標と重なる農地・道路除染の遅れを指摘する声も漏れた。村民が村を離れて5年。村は避難住民の心身の疲労は限界点に近づいているとみており、目標を示して住民の希望をつなぎ留めたい考えだ。

■不可欠な農業再生

 「作付けにはまだまだ時間がかかる」。村農業委員の杉浦光一さん(66)=南相馬市原町区に避難=は声を落とした。村の主力産業の復興に向け除染を終えた田畑の表土は削られ、栄養を回復する取り組みが進む。しかし、原発事故前は優良だった農地の多くに除染廃棄物が山積している。撤去の見通しは立たない。
 村内の女性らを中心に組織したかーちゃんの力・プロジェクト協議会長の渡辺とみ子さん(62)は「田畑の現状を考えると来年3月の避難指示の解除は厳しいのではないか」と指摘する。直ちに営農は再開できないと見ているためだ。だが、望郷の念は尽きない。「村で生きていくためには農業再生は不可欠」と強調した。

■好転を切望

 商業施設の充実も急務だ。村には現在、コンビニエンスストアが1軒あるのみ。村商工会は共同店舗の設置を村と協議している。愛沢文良村行政区長会長(74)=福島市に避難=は「食料品などの移動販売が必要だ」と求めた。
 震災と原発事故後も村内で稼働している事業所や施設は帰還目標の提示を好意的に受け止めた。
 震災直後の2日間を除き工場を動かし続けた菊池製作所(本社・東京都)の高橋幸一取締役(54)は「帰還する村民が増えれば従業員の張り合いになる」と歓迎した。
 特別養護老人ホーム「いいたてホーム」も村内に残った事業所の一つ。従事者の確保に苦労する福祉業界にあってさらに苦心を重ねた。職員募集などの際に避難指示区域内での就労を敬遠されるケースもあったという。三瓶政美施設長(67)は「解除が事態の好転には直結しないと思うが、長期的にはきっとプラスに働くだろう」と期待を寄せた。

■複雑な思い

 村は幼稚園と小中学校を平成30年4月に村内の飯舘中で再開させる方針も明示した。複雑な思いを隠さない保護者も少なくない。
 小学生と中学生の合わせて4人の母親の庄司智美さん(38)=福島市に避難=は子どもを村内の学校に通わせるつもりだ。大量の除染廃棄物が残る村内に不安がないわけではない。ただ、子どもたちは周囲の友人が村に戻る中で福島市に残ることに難色を示しているという。「子どもの考えを尊重したい。早く中間貯蔵施設を整備して廃棄物を撤去してほしい」と切実に訴えた。

カテゴリー:主要

幼稚園と小中学校が入る予定の飯舘中
幼稚園と小中学校が入る予定の飯舘中

主要

>>一覧