あぶくま抄・論説

日曜論壇

  • Check

英知を結集する仕組み2(12月11日)

 平成26年5月の安全確保県民会議で、県民目線のロードマップの議論があった。
 県民の委員から「国は東京電力から何か意見が上がってくれば動きますが、上がってこないものは対応しないそうです」「究極に差し迫った状況で、規制庁として持っている知見を、東京電力に与えて、有効な議論を進めていくという方向に、(内閣府も含めた)三者一体の進め方をしていただかないと、30年が40年、40年が50年になってしまう」といった発言があった。有識者からも「例えば規制庁は『こう指導している』と言うが、指導しているというのは、国が一体としてやると言うことと、ちょっと違うのではないか」との意見があった。
 米国スリーマイル島第二発電所の廃炉工事では、放射性の汚泥を処分するための高密閉性容器(HIC)が必要となり、英知を結集して開発を遂行した例を前回のこの欄で紹介した。その作業の中身を、担当したEG&G社の報告書などを基に紹介したい。
 当時の原子力規制委員会(NRC)の保管容器への安全要求は、安定な状態で保管すること。すなわち固化するか、汚泥のままHICに300年保管するかだったが、現地での固化は困難だった。さらにHICの安全規則自体が確立されておらず、開発しながら安全規制を同時に決める必要があった。
 一方、米国では事故翌年、電力会社、電力研究所、NRC、エネルギー省が覚書を交わして1つのチームとして動く体制を発足させていた。組織の頭文字を取ってGENDと呼ばれた。その協力体制を活用し、開発と安全規制策定という2つの作業が「ほぼ同時」に進められ、300年間安全に保管する方法を4年間で確立した。
 当初、EG&G社は用途が広い型式承認を取ろうとしたが、NRCは使用目的を限定した承認を勧めて時間短縮を図った。全ての組織が「共通の目標に向かい、まるで新しい仕組みを探し求める探検者のようだった」と述べている。そして、この協力作業の経験から、今後の同様な規制はより短期間で行われるだろうと結論付けた。
 先日、国際原子力機関(IAEA)の紹介でスロバキアの放射性廃棄物の処分場を訪問した。北海道の5分の3ほどの国土だが、2カ所で既に稼働しており、国営の廃止措置会社ヤヴィス社が運営している。われわれとの議論には規制側の検査官も参加した。低濃度の放射性廃棄物を一般廃棄物として扱う判断基準などを議論した時、規制側の検査官とヤヴィス社の担当者が相互の考えを確認し合ってわれわれの質問に詳細に答えてくれた。日本政府からIAEAに出向し、当日同行してくれた方はその様子を見て「新鮮な感じ」がしたとの感想をよせた。ただ、ポーランド出身のIAEA職員からはポーランドでは普通の対応だとの答えがあった。
 これは、県民会議で出た「国が一体になって進めてほしい」という仕組みが、海外では普通に行われているということではないだろうか。(角山茂章、会津大前学長)

カテゴリー:日曜論壇

日曜論壇

>>一覧