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観光と町おこし(12月18日)

 JRいわき駅北側の高台に忽然[こつぜん]と白亜の城が現れた。いわき市の市制施行50周年記念式典に合わせて、10月1日にライトアップされた。まさに一夜城そのものだ。
 これは平まちなか復興まちづくり計画推進プロジェクトチームの「磐城平城復元一夜城プロジェクト」の一環である。3階建て櫓[やぐら]の城の形をした看板に磐城平城を地元の学生がペンキで描いたものだ。その大きさは高さ約13メートル、幅約11メートルと忠実に再現した。前方には幅27メートルの白壁を配置して立体感を演出するなど趣向を凝らした。
 いわき駅の改札口を出て、つまり北側へ行くとすぐ平城本丸跡が見えてくる。案内板も設置されている。道路を渡ると行き方の表示もあるが、この城がある場所は民有地のために、イベントなどが開催されるときのみ門扉が開けられるので、事情を知らずに坂道を3、4分上って行った末にがっかりさせられることがあるようだ。一言「イベント実施時のみ開門」などの表示があると親切だ。
 坂を上がりきったところには当時の石垣跡がある。しかもすぐそばにはこの城の別名「龍が城」と付したナマコ壁をもつ白壁のユニークな2階建ての美術館がある。しかし、現在は閉館し、その機能さえ果たしていないが、その旨の表示はない。
 復元された一夜城は来年3月まで設置される予定だ。プロジェクトは緒についたばかりだろうが、この城の成り立ちや最後の城主、すなわち安藤信正公の説明などがあると意義があると思われる。
 信正公は歴史の教科書には必ず登場する人物で、幕末には筆頭老中として公武合体策を進め、坂下門外の変で不運な失脚に至ったことはあまりにも有名だ。
 ここから南西方面に歩いて10分ぐらいの松ケ岡公園には信正公の銅像があることも付け加えると、なお親切だろう。風雨に負けない丈夫なプラスチックのケースの類いに入れてこの城の紹介文などを作成し、自由に持ち帰ってもらい、郷土の歴史再発見、あるいは次回の訪問地に加えるなどにつなげたいものだ。
 市はこの本丸跡地の公有化を目指すとともに公園としての活用を検討しているとのことである。
 いわき地域学会が「いわき学検定」を実施し、第2回の「いわき学博士号」が誕生し、昨年の4人に続き、5人が誕生した。彼らによる観光振興への力添えを大いに期待したい。
 観光といえば、いわき駅にある「いわき市総合観光案内所」の拡大を図り、その機能をさらに強化してはどうだろう。土曜・日曜などにいくつかの特急電車の到着に合わせて「ようこそいわきへ!」などの歓迎を提案したい。この際、広く市民にアイデアを募り、実現化するなど地域の「光を観[み]る」町おこしこそ市制施行50周年の実績となることを期待したい。
(玉手匡子、磐城桜が丘高校同窓会長)

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