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世界初ソフト開発 脳動脈瘤の治療法判定へ 福島拠点のイービーエム

 福島市に生産拠点を置く医療機器製造・販売「イービーエム(本社・東京都)」は東北大学病院脳神経外科の医療チームと共同で、脳動脈瘤(りゅう)の治療法判定に役立つ世界初のソフトウエア「hemoscope(ヘモスコープ)」を開発した。脳血管の立体画像を基に血流を解析し、開頭手術が必要かどうかといった情報を得る。一連の研究内容をまとめた東北大の論文が米国脳卒中協会の会報に掲載された。
 脳動脈瘤は脳動脈の一部が瘤(こぶ)状になる病気で、破裂しない場合はほとんど症状が現れない。日本脳卒中学会は見つかっていないケースを含め、国内に約300万人の患者がいると試算している。致死率の高いくも膜下出血の要因となるため、破裂の可能性が高い場合は治療が必要となる。
 瘤への血流を止めれば破裂の危険が減るため、治療は主に(1)開頭手術により瘤の根元を器具で留める(2)血管内にカテーテルを通し瘤内に詰め物をする-のいずれかの手法で行われている。瘤内への血流が多ければ開頭手術、少なければカテーテル治療を選択するケースが多い。開頭手術は再発のリスクが低い半面、患者の体にかかる負担が大きい。医師は瘤の形状や大きさを写した立体画像を見て血流の状況を推測して治療法を決めるのが一般的だ。
 ただ、見立てを誤る場合があり、同学会によると、開頭手術を行わずカテーテル治療でも再発しないと判断したケースの約1割で、再治療が必要な状況になっている。医学界では客観的な血流の解析が必要とされてきた。
 ヘモスコープは立体画像から血管や瘤の正確な形状を抽出する。さらに、航空機や自動車の設計などに用いる数値流体力学(CFD)の技術を応用し、血管内や瘤に流れ込む血流を詳細に測定する。得られたデータは開頭手術の必要があるかどうかを決める上での判断材料となる。今後、患者のデータを集め解析結果の精度を確認した上で実用化を目指す。
 一連の研究内容が掲載された米国脳卒中協会の会報「STROKE(ストローク)」の表紙にはヘモスコープの解析画像が掲載され、世界の医療関係者の注目を集めている。
 東北大との共同研究は平成25年にスタートし、県のふくしま医療福祉機器開発事業費補助金を活用した。イービーエムの朴栄光社長(35)は「福島発の最先端の医療技術が世界的な評価を受け光栄だ」と話している。東北大医学部脳神経外科の冨永悌二教授(59)は「ヘモスコープは画期的な医療用ソフト。将来的には脳動脈瘤の破裂の危険性を判断できるよう研究に協力したい」と評価している。
 イービーエムは心臓外科手術シミュレーターを製造・販売し、県が集積を進める医療機器産業のけん引役となっている。福島民報社の第2回ふくしま経済・産業・ものづくり賞(ふくしま産業賞)で、福島民報社賞を受けた。

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