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【車の自動運転】過疎、高齢化の対応策に(1月7日)

 自動運転車の研究・開発が急速に進んでいる。既に自動運転機能の一部を搭載した車は市販化されている。より高度な自動運転は、国が平成32(2020)年をめどに実用化の構想を描く。県内には関連事業への参画を目指す自治体もある。過疎などに悩む地方ほど交通インフラの不足や高齢運転者の事故は大きな問題だ。自動運転がそれらの打開策の一つとなるよう、技術開発の進展に期待する。
 「自動運転」と一口に言っても、自動化の範囲によって2つに分かれる。ブレーキやハンドル操作などを車が補助する「準自動運転」と、全ての操作を車が担う「完全自動運転」だ。前者は運転支援システムとも呼ばれ、高速道路走行などに適する。後者は開発途中だが、交通手段の乏しい地域で活用が見込まれる。中山間地域などを抱える本県でも当然、必要度は高い。
 自動運転は交通事故抑止にも効果的だ。あるメーカーの調査では、準自動運転車の登場により追突事故が8割、対人事故が5割、全体で6割事故が減ったという。
 懸念もある。事故率減少の陰で、自動運転機能を過信した運転者のミスによる事故が起きている。完全自動運転が実現しても、機械が故障しない保障はないため、結局は人の関与が不可欠となる。そのための備えが重要だ。
 国には十分な研究開発費の確保を望む。同時に過誤や過信といったヒューマンエラーを防ぐ交通教育や安全啓発の充実を求めたい。技術開発と同等以上の費用をかけるぐらい本気の取り組みが肝要だ。
 県内では福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想によるロボット開発などが期待を集めている。自動運転とも関連が深い人工知能(AI)に関する技術も研究されるはずだ。
 南相馬市は昨年12月、市内小高区での自動走行実験の候補地域に名乗りを上げた。イノベーション構想と連動させ、今春開校する小高産業技術高とJR小高駅を自動運転バスで結ぶ算段だ。浪江町は3月の避難指示解除を見据え、地域の足として公共交通の自動化を検討している。県内に工場を置く関連の大手2社も先月、自動運転技術に関する提携協定を結んだ。官民の熱意に大いに期待したい。
 本県は復興途上にあるだけに、被災地ならではの視点で「安全安心」重視の技術開発が進むよう望む。官民が両輪となり、世界に県産技術を発信すれば復興の推進力になるだろう。被災地で開発、実用化された新技術が世界に広がることを願う。(高橋英毅)

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