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【衆院の区割り改定】一極集中是正が先だ(1月10日)

 首相の諮問機関「衆院選挙区画定審議会」(区割り審)は、小選挙区定数の「0増6減」や「1票の格差」是正を踏まえた区割り案の策定作業を今月から本格化させる。本県では会津地方の17市町村を選挙区とする4区が見直し対象になる。内堀雅雄知事が区割り審に意見具申したように、隣接する中通りの一部を4区に編入する場合は、経済圏や生活圏の一体性を最大限考慮する必要がある。
 平成27年国勢調査で、本県4区の人口(27万6715人)が、人口最少県の最少選挙区となる鳥取2区(28万3563人)を下回ったためだ。衆院中選挙区時代には、郡山市の一部や県南地方の市町村が会津地方と同じ選挙区だった経緯がある。選挙区を飛び地にせず、市町村の区域は原則として分割しないなどの策定方針があり、隣接する中通りの1、2、3区の中から4区に組み入れて対応することになる見通しだ。
 内堀知事は意見具申で、会津地方と中通りは奥羽山脈で分かれ、気候風土や伝統文化、経済圏や生活圏が異なると指摘している。加えて、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により、県内人口は流動的な状況にある。区割り審は5月27日までに新たな区割り案を首相に勧告するが、本県の見直しに当たっては、こうした特殊事情を十分に考慮すべきだ。
 27年国勢調査では、総人口の約3割を東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県が占め、東京圏への人口集中がさらに鮮明になった。「一票の格差」を2倍未満に収めることは重要だ。だが、いくら区割りを変更しても、大都市への人口の偏在を解消しない限り、地方の過疎化や高齢化は進み、「一票の格差」はますます広がっていくだろう。
 日本世論調査会が昨年12月に行った全国面接世論調査で、安倍内閣が掲げた地方創生について「進んでいない」「どちらかといえば進んでいない」と思う人は合わせて77%に上った。地域活性化の実感は乏しく、国の施策が不十分だと、多くの人が感じている。東京一極集中についても「是正すべきだ」「ある程度是正すべきだ」が75%に達した。企業の分散を一層進めるなど、地方の人口減少に歯止めをかける思い切った施策、政治が求められる。
 人口の少ない地方の議員が減り、人や企業が集まる大都市の議員が増える。ますます地方の声が届きにくくならないか。地方の衰退につながりかねない区割りの変更なら、本末転倒だ。(鎌田喜之)

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