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受話器の向こう(1月10日)

 「大抵の人は気が動転している。その中でいかに情報を聞き漏らさないか。とっさの言葉に事件解決のヒントが潜んでいることもある」。110番通報を受ける県警本部の通信指令室に勤務していた警察官OBから聞いた。人の記憶は時間の経過とともに上書きされる。最初に見たり、聞いたりした情報が重要なのだと。
 中には不届き者もいる。酔っぱらいの愚痴、痴話げんか、いたずら電話もある。だが、万一のことを考えるとむげにもできない。短いやりとりの中で、声の背後に隠れた犯罪に発展する恐れや危険性を見抜いて初動体制を判断する。経験がものを言う職場だ。それゆえ刑事経験者の配置も多い。
 県警本部が平成27年に受けた110番件数は11万5千件余り。1日平均では実に300件を超す。総件数のうち2万3千件ほどはいたずらや無応答だ。緊急事態を最優先しなければならない担当者にとって迷惑千万な話だ。県警本部は困り事などは警察相談専用電話「♯9110」の利用を求めている。
 きょうは「110番の日」。まさにこの時も受話器の向こう側に全神経を集中し、犯罪に目を光らせている人がいる。安全はプロ魂に守られている。

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