県内ニュース

主要

  • Check

特定復興拠点 地元と政府 意見交錯 整備場所や数、除染範囲

 政府が5年後をめどに避難指示を解除するとした帰還困難区域の特定復興拠点を巡り、地元自治体や住民と政府の間で意見が交錯している。浪江町は津島、苅野、大堀の3地区での拠点整備を求めているが復興庁の回答はまだない。葛尾、飯舘両村では区域内の全面除染を優先させるべきとの声が上がる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から5年10カ月を前に、大熊、双葉両町は10日、地元意向の尊重を政府に要望した。

■異なる実情

 政府は特定復興拠点について「核となる拠点を定め、除染しながら徐々に(拠点の)範囲を広げるのが基本だ」との認識を示す。
 しかし、浪江町は複数の拠点整備を求めている。町内を通る常磐自動車道の東側に位置する苅野、西側の大堀、北西の山間地に位置する津島の各地区はもともと村で、昭和31年に合併した。各地区に固有の風土と文化がある。このため町は地域再生には各地区に拠点を設ける必要があると主張してきた。政府は福島民報社の取材に対し、「各町村の拠点整備は1カ所だけとは決めていない」としながらも、現段階で町には明確な回答をしていない。
 富岡町はこれまでのところ拠点の整備場所を決めていない。帰還困難区域にはJR夜ノ森駅や夜の森公園などがあり、周辺に住宅地が広がる。町は「拠点の線引きが難しい」としている。

■線量低減が先

 葛尾、飯舘両村の住民が求めている帰還困難区域の全面除染は、拠点設置などを盛り込んだ政府の「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」と合致しない。政府関係者は「全ての住民が帰還するかどうか分からず、全域除染は効率的でない」と否定的な見解を示している。
 葛尾村では帰還困難区域の野行(のゆき)地区の全域除染などを国に求めるべきとの陳情があり、村議会が昨年12月の定例会で意見書を採択した。飯舘村は今後、長泥地区の住民と拠点整備の進め方などに意見を交わす。

■不透明

 10日、大熊町の渡辺利綱町長、双葉町の伊沢史朗町長は今村雅弘復興相に「町の復興が置き去りにされないよう地元の意向を最大限尊重してほしい」と要望した。今村氏は「地元と相談しながら取り組む」と応じた。
 大熊、双葉両町は帰還困難区域が町の多くを占め、それぞれJR大野駅と双葉駅の周辺を中心に広範囲の拠点整備を求めている。
 拠点整備を巡り、政府は平成29年度予算案に除染などの関連事業費として309億円を計上した。予算は必要に応じて積み増すとしている。ただ、国の財政状況は厳しく、政府関係者は「拠点整備は確保した財源の範囲内でしかできない。優先順位を付けて段階的に進めるしかない」と明かす。地元意向がどれだけ反映されるかは不透明だ。

カテゴリー:主要

主要

>>一覧