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【常磐道の効果】復興促す機能を高めて(1月11日)

 平成27年3月に全線開通した常磐自動車道の役割が日増しに高まっている。国交省と東日本高速道路などが発表した開通後1年半の交通量は増加傾向にあり、企業立地や観光客の伸びで地域経済に貢献している。東日本大震災からの復興をさらに促すため、暫定2車線のいわき中央-岩沼インターチェンジ(IC)間の4車線化、大熊、双葉両ICの新設などを着実に進めてほしい。周辺の国道、県道の重要性も増すとみられ、効果的な整備が望まれる。
 東日本高速道路東北支社によると、開通後1年半の1日当たりの交通量は暫定2車線の各IC間で8800~2万900台だった。開通前に比べ約4000~6500台増えている。東北支社は増加傾向について「従来の東北自動車道の利用者が常磐道を利用するようになった」と分析する。
 県内の2本の縦貫道は、物流の効率化や高速バスの定時性確保につながっている。仙台市と東京方面を結ぶ高速バスは1日100便ある。バス事業者は東北道の状況に応じて渋滞を避け、常磐道への迂回[うかい]も選択しているという。特に冬期は雪が少ない常磐道の移動時間の信頼度が高い。
 利用者が多い年末年始の1日の交通量は、東北道に比べ常磐道はまだ約5分の1だ。今年度は、いわき中央-いわき四倉間で1万400台、浪江-南相馬間9000台、南相馬-鹿島スマート間1万1400台と前年度より300~800台増えている。IC出口料金所などを通過した大型車台数は前年度より12%も伸びた。
 全線開通の経済効果として東日本高速道路などは、企業立地の増加により一昨年1月に比べ約1940億円、浜通りでは約1500人の新規雇用が生まれたと試算した。回復する観光客数と合わせ、沿線地域が通過だけにとどまらず、目的地として価値を上げているのがうかがえる。
 常磐道は、津波や東京電力福島第一原発事故の被災地の復興に欠かせない。効果を継続し、新たな産業創生や救急医療態勢の充実などにつながる機能を高める必要がある。高速道路自体の整備は当然だが、周辺の国道や県道などにも目を向けたい。
 並行して走る6号国道、県道いわき浪江線と相馬浪江線は地域の重要な生活路線だ。交通量に応じたバイパス整備や、ICの接続道路との間で車がスムーズに流れる改良などが必要だろう。常磐道が通行止めの際は補完する道になる。緊急時などに一般道を初めて利用する人に、混乱なく情報を提供できる態勢づくりも急務だ。(浅倉哲也)

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