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【いわきアカデミア】地域が好きな若者育成(2月10日)

 将来を担う人材の育成や起業家支援を核とした、いわきアカデミア推進協議会の活動が注目されている。県、市、商工会議所、教育機関などが連携し昨年5月に発足した。目指すのは地域を好きになる若者の育成だ。市内の企業を知ってもらう小学生向けの副読本作りや高校生の訪問研修に取り組んでいる。高校生による会社経営の模擬体験、大学生の実践型インターンシップも導入した。新たな活力を生む可能性に期待したい。
 推進協の発足は、市が人口減少に歯止めをかけ、地域経済の衰退を防ぐため策定したいわき創生総合戦略が反映されている。背景に20歳前後の世代の流出が、福島市や郡山市に比べ多いことがある。特に、進学した首都圏の大学・専門学校を卒業後、古里へ戻らない傾向が顕著だ。
 戦略の柱となる、まちづくりや人づくりを進める上で若者の定着は欠かせない。柱の一つの仕事づくりには、地元企業に関する情報・理解不足の解消、起業意欲を支える態勢が必要とされている。
 推進協の関係者は「地元の企業・団体を知ってもらうのが第一」と強調する。小学生向けの副読本は新年度から3年生に配布する。主な企業を分かりやすい説明と写真・図などを用いて紹介している。保護者や教員に向けて「ともに学んでほしい」と呼び掛けるメッセージも載せた。
 昨年12月に行った磐城高1年生の企業訪問研修は進路を考える生徒の役に立った。単なる見学でなく、経営理念や地域の歴史を踏まえた創業精神、国際市場を目指す展望などを聴いて理解を深めた。同校では進学の理系、文系選択の参考にするため、以前から製造業を中心に研修していた。今回、推進協との連携により観光、金融、情報業などの企業も加わり、視野が広がったという。
 首都圏を中心にした大学生らが対象の実践型インターンシップも今月末から始まる。より実践的に現場の業務を体験するため、期間は4週間にわたる。社長のごく近くで働く時間や具体的な企画づくりなどが用意され、仕事への意欲を試す機会になる。派遣先は小規模ながら将来性のある事業所もあり、実際の求人につながることも期待される。
 震災後、いわき市は生徒会長サミットや、いわき志塾などを通じ次世代のリーダー養成に取り組んだ。地元を理解し、愛着を持って行動する若者が増えている。推進協は、地域に根差した教育に力を入れる市内の大学、高専とも連携し、さらに若い芽を伸ばしてほしい。(浅倉哲也)

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