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駅伝からマラソンへ(2月22日)

 多くの思い出の品が津波で流されたが、その盾は奇跡的に見つかった。見開き型で、右に賞状、左にメダルがあしらわれている。トヨタ自動車九州に所属する今井正人選手をたたえていた。
 20回を記念した9年前の市町村対抗県縦断駅伝の開会式で、ふくしま駅伝から羽ばたいた有力選手に贈られた特別賞だ。小高中一年で旧小高町から初出場し、原町高3年まで古里のタスキをつないだ。順天堂大では箱根駅伝で「山の神」と称され、実業団で国内屈指のランナーに成長した。被災した南相馬市小高区の実家から茨城県に移った両親が盾を大切に保管している。
 マラソン人生にも前を遮ろうとする波が押し寄せた。2年前のきょう開かれた東京マラソンで2時間7分39秒の日本勢最高を記録して世界選手権代表を射止めたが、直前に髄膜炎を発症し無念の欠場となった。「本命」とされて臨んだ昨年は13位と力を出し切れず、五輪出場は果たせなかった。32歳の今も体調との闘いは続く。
 26日の東京マラソンは8月の世界選手権、3年後の東京五輪を見据える大会になる。「駅伝はマラソンに通じる」。培った力と信念が大舞台への扉を開く。

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