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【双葉郡選挙区】民意反映に不可欠だ(4月7日)

 県議会の議員定数(58)は5年に1度の国勢調査ごとに見直されるが、現行の公職選挙法に基づくと双葉郡選挙区(定数2)の議員がゼロになってしまう。県議会は国に選挙区の維持・存続を要望した。双葉郡は今春、東京電力福島第一原発事故による避難指示が一部を除き解除されたが、多くの住民が依然、郡外で暮らさざるを得ない状況にある。民意を県政に反映させるには県議の存在が欠かせない。国は特殊事情を考慮し、必要な法的措置を講じるべきだ。
 選挙区別定数は直近の国勢調査を用いて配分する。平成27年国勢調査による県人口は191万4039人で、議員1人当たりの人口は3万3001人となる。選挙区人口は議員1人当たりの人口の半数以上でなければならないが、調査時点の双葉郡の人口は広野、楢葉、川内、葛尾4町村の7333人で半数に達せず、現行法では隣接の市町村との強制合区が避けられない事態が生じる。
 6万人を超える住民が県内外に避難している双葉郡の現状を考えれば、現住地を調べる国勢調査を基準にすることには無理がある。住民票を移さずに避難している人も多く、住民基本台帳の人口であれば、約6万6000人となって議員定数は現行のまま維持される。現行法は原発事故という前例のない災害を想定していない。だとすれば、国は現状に即した形で法律を見直さなければならない。
 平成23年春に予定されていた県議選について、国は震災と原発事故の影響が大きいとして臨時特例法を制定。実施は延期された。双葉郡は現在も原発事故の影響が続いている。住民基本台帳に基づく特例が難しいなら、震災前の22年国勢調査を基準とする対応も検討すべきだ。
 避難区域が解除された双葉郡の町村では、役場機能が戻り、新しいまちづくりが始まっている。福島第一原発が立地する双葉、大熊両町と帰還困難区域では復興拠点の議論が本格化する。復興の進捗[しんちょく]や課題は町村によって異なり、住民のニーズも避難の状況などに応じてさまざまだ。今後は町村の枠を超えた広域的な連携も重要になる。被災地の将来における県議の役割は一層重要になるだけに、選挙区の廃止は復興に水を差すことにもなりかねない。
 現県議の任期は31年11月までだが、1年前までに議員定数などを見直し、条例を改正して県民に周知する必要がある。国は双葉郡選挙区の維持存続を求める県議会の要望を踏まえ、早期に結論を出すべきだ。(鎌田喜之)

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