県内ニュース

主要

  • Check

区切り勧告の波紋 西郷、会津 課題異なる

 衆院選挙区画定審議会(区割り審)が本県4区に3区の西郷村を編入するとした区割り改定案を勧告し、一夜明けた20日午前9時ごろ。村役場で執務していた佐藤正博村長は突然の来客に思わず「えっ」と声を上げた。
 相手は4区関係の国会議員だった。「東京へ行く途中に寄った」との説明だったが、次期衆院選を見据えたあいさつと受け止めた。国会議員に対し、「住民が困惑している。勧告を変更することはできないか」と訴えたという。
 佐藤村長の戸惑いは大きい。20日、区割り審事務局の総務省に担当者を派遣してもらうよう県を通じて要望した。21日に開かれる村議会全員協議会で勧告の経緯について説明を求めるためだ。だが、夕方になっても総務省から返事はなかった。
 西郷村には東北自動車道白河インターチェンジやJR東北新幹線新白河駅があり、中通りと東北の玄関口の役割を担う。村内には進出企業が増えている。人口は年々、拡大し、公共交通の充実などが課題となっている。
 一方、4区の会津地方は過疎が進み、雇用確保、雪害などが地域の悩みだ。南会津地方の首長の一人は「選挙区が同じになれば、西郷村の意向に十分配慮して国への要望活動に取り組む」と語る一方、西郷村の関係者は両地域を取り巻く環境、課題は異なっているため「西郷という一自治体からの各種要望が果たして、国にきめ細かく伝わるのか」と懸念する。
 東日本大震災後と東京電力福島第一原発事故後、村は3区選出の国会議員をはじめ各政党の支部組織などを通じて復旧・復興に向けた対策を国に要望してきた。「国政の窓口」となっていた政党関係者と信頼関係を構築してきたが、4区に編入されれば頼みにする相手が変わる。人とのつながりをゼロから築く必要にも迫られるとの指摘もある。
 村は西白河地方市町村会の構成自治体と連携し地域振興を進めてきた。4号国道の4車線化が一部区間で実現するなど成果が表れたが、行政関係者からは今後の活動への影響を心配する声も出ている。
 年内の衆院解散の見方もある中、新たな区割りを適用した選挙になれば、有権者はなじみの薄い候補者に1票を投じる。「人口だけで線引きするのはおかしい」。村商工会の大高紀元会長(70)は勧告への不満を隠さない。「選挙への関心が高まらず、若い人の政治離れも進む」と心配する。 県内選挙区の区割り改定は今回が初めてではない。約20年前の選挙制度改革でも生活圏や経済圏の異なる地域をまたぐ改定が行われ、その違和感は今も解消しきれていないとの声もある。
 区割り審による勧告は県内に波紋を呼んでいる。改定案が勧告された関係地域の戸惑いと今後の課題を探る。

カテゴリー:主要

JR東北新幹線新白河駅があり、中通りの玄関口となっている西郷村。会津と抱える課題が異なる
JR東北新幹線新白河駅があり、中通りの玄関口となっている西郷村。会津と抱える課題が異なる

主要

>>一覧