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【北のミサイル発射】万が一に備えたい(5月15日)

 北朝鮮は14日朝、弾道ミサイル一発を発射した。国際社会を挑発するかのように発射を強行したことは強く非難されるべきだ。韓国大統領に就任した革新系の文在寅氏は、対話による北朝鮮の核・ミサイル問題解決を重視している。だが、北朝鮮は開発を継続する姿勢を鮮明にした。日本にとってミサイル飛来という脅威は当分消えそうにない。不安をあおる考えは毛頭ないが、政府や地方自治体、住民一人一人が万が一の事態に備える必要はあるだろう。
 政府は今月、北朝鮮から発射された弾道ミサイルの情報を提供する全国瞬時警報システム(Jアラート)の運用を変更した。ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合、第一報の段階で避難を呼び掛ける。従来は発射情報だけだったが、ミサイルは数分間で飛来するため速やかな避難を促すことにした。今回の落下場所は日本の排他的経済水域(EEZ)の外側で、Jアラートは使用しなかった。
 北朝鮮の弾道ミサイル発射に備える国内初の住民避難訓練が3月中旬、秋田県男鹿市で行われた。Jアラートや防災行政無線などで発射に関する情報を伝えるとともに「国民保護サイレン」も流した。参加した約110人の住民は公民館や小学校の体育館に避難した。訓練後のアンケートによると、参加者の86%が「今後も適切に対応できると思う」と答えたが、「サイレンの音が小さく感じた」「無線が聞きにくかった」などの意見も寄せられた。訓練の効果を確かめられた半面、幾つかの課題も浮かんだ。
 政府は全国の自治体に積極的な訓練実施を働き掛けている。本県では実施に向け、県が市町村の意向を調査しており、具体的な動きはまだ出ていないという。一日でも早く、各市町村と住民が意識を共有する機会を設けたい。
 内閣官房の「国民保護ポータルサイト」では弾道ミサイル落下時の行動として「できる限り頑丈な建物や地下に避難する」「建物がない場合は物陰に身を隠すか地面に伏せて頭部を守る」「屋内にいる場合は窓から離れるか窓のない部屋に移動する」とした注意点を示している。実際に国民保護サイレンも聞ける。
 県と一部の市町村は、ホームページで同じ資料を公開している。しかし、パソコンやスマートフォンを持たない地域住民もいる。別の方法で、より多くの住民に周知徹底を図ることも行政に求められる。住民自身も、避難するのに適した頑丈な建物がどこにあるかなどを日頃から考えていたい。(川原田秀樹)

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