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【会津の観光客】まだまだ足りない(6月1日)

 会津地方全体の観光振興の中心となっている「極上の会津プロジェクト協議会」は、昨年4月に日本遺産に認定された「会津の三十三観音めぐり」を軸に誘客事業に乗り出している。会津地方の観光客の入り込みは着実に回復しているようにみえるデータもあるが、観光施設や温泉など宿泊施設の関係者の実感は薄い。会津の観光客はまだまだ足りない。
 協議会が観光施設や温泉地、神社仏閣などを対象に独自にまとめた会津地方の観光客の入り込み状況によると、平成28年は約1552万人で東日本大震災後では過去最高となった。震災直前の22年の約1350万人を約200万人上回っている。数字だけをみれば、悩まされ続けている風評を払拭[ふっしょく]したかに映る。
 ただ、細かくデータをチェックしていくと、過去最高の入り込みを押し上げているのは道の駅の集客力が大きな要因だと分かる。震災前になかった湯川村の「道の駅あいづ湯川・会津坂下」と金山町の「道の駅奥会津かねやま」を合わせると優に100万人を超える。地元に密着し、高い人気を誇る道の駅に大勢の人が集まるのは歓迎したいし、ぜひ周辺の観光施設に好影響を及ぼしてもらいたい。
 ところが、ほかの観光施設の入り込みをみると、前年割れや震災前の水準に戻っていない場所も目立つ。施設によって好不調の濃淡がはっきりしているのも特徴といえるだろう。震災前の6、7割の来場者にとどまっている歴史的施設もある。神社仏閣も前年比では増加しているが、震災前の水準に戻っているのは数少ない。
 18年度から続く極上の会津プロジェクト協議会には、こうした実態を踏まえた対策をお願いしたい。入り込みにばらつきがあるなら、集客力のある道の駅や入り込みが回復した施設から他の施設に誘導する仕組みを積極的に構築すべきではないか。明暗のある施設を組み合わせたモデルルートをつくるのも一つの策だ。協議会には、ぜひリーダーシップをとってもらいたい。
 協議会は29年度に「会津の三十三観音めぐり」の案内板や誘導掲示を充実し、国内外からの誘客促進を図るという。会津を訪れる外国人の数はJR会津若松駅と鶴ケ城の案内所利用者でみると台湾、香港、タイがベスト3に入る。英語ばかりでなく案内の多言語化は、増加傾向を示してきた外国人観光客の受け入れに向けて早急に取り組むべき課題だ。(安斎康史)

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