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【避難区域の道路】自由通行の拡大探れ(6月3日)

 帰還困難区域内の特定復興再生拠点整備を明記した改正福島復興再生特別措置法が先月、施行された。拠点では道路や水道などのインフラ復旧と除染を国費で一体的に進め、認定から5年後をめどに避難指示を解除する。ようやく帰還困難区域の復興が動きだす。中でも、交流や物流の動脈となる主要道路網の再生は重要な意味を持つ。
 帰還困難区域内では県管理の国道、県道だけでも17路線で通行規制が続いている。福島市と浪江町を最短で結ぶ114号国道もその一つだ。川俣町山木屋の先から浪江町室原までの約27キロは通行証がないと通れない。入り口と出口のゲートでは町が発行する通行証と身分証明書の提示が必要となる。通行証がないと、南相馬市経由など遠回りしなければならない。
 浪江町は今春、居住制限、避難指示解除準備の両区域で避難指示が解除された。一方で、津島地区など広大な帰還困難区域を抱えており、平成32年度までの第二次復興計画に114号国道などの自由通行を盛り込んだ。川俣町山木屋地区には7月1日、114号国道沿いに商業施設がオープンする。食品・日用品を扱う小売店や食堂が入る予定で、全線の規制解除による集客効果に期待する。葛尾村も、震災前は114号国道でつながる浪江町や南相馬市が生活圏だっただけに、自由通行を望む声は多い。
 6号国道は国が除染や防犯対策を講じた上で特別通過交通制度の運用を変更し、帰還困難区域でも自由通行を認めている。114号国道も除染を終えており、適用変更は可能だ。帰還困難区域を車で1回通行する際の放射線量は昨年の国の調査で1マイクロシーベルト程度であり、胸部エックス線集団検診1回当たりの被ばく量の約60分の1となっている。
 ただ、運用を変更する場合は、放射線量の把握に加え、防犯と交通安全の対策が不可欠になる。6号国道では不審者などが立ち入らないよう、国道からの脇道を封鎖している。住民は一時帰宅などで不便が生じることになり、十分に説明し理解を得る必要がある。路面や信号などの交通安全施設の保守・点検も徹底して行わなければならない。
 国は県や市町村と協議し、課題を一つ一つ克服して欲しい。その上で帰還困難区域内の主要道路について自由通行の拡大に向けた道筋をできるだけ早く住民に示すべきだ。道路を血管に例えるなら、血液である人や物が自由に行き来できるようになって初めて地域は再生し、人々の暮らしが戻ってくる。(鎌田喜之)

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