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【照明灯増設】安心の光もっと(6月5日)

 国土交通省は相双地方の6号国道沿いに照明灯を十数基増設する方向で調整に入った。夜間でも車が走行しやすい環境を整えるのが狙いだ。交通の安全確保にとどまらず、防犯上の効果もある。これを機に被災地を明るく照らす取り組みを一層広げたい。
 沿岸部を通る6号国道は東日本大震災の被災地復興や東京電力福島第一原発事故の廃炉作業に当たる車両で朝夕、渋滞が起きている。事故を未然に防ぐため、照明灯の設置場所は見通しの悪い地点や、降雪により車両の通行に影響が生じかねない場所などから選ぶ方針という。
 国交省としては道路を管理する上で必要かどうかといった観点で設置場所を決めるのは原則かもしれない。ただ、道路は車だけが利用するわけではない。
 震災前、沿道には店舗、事業所、民家の明かりがあった。原発事故による避難指示が解除されても住民の帰還や事業所の再開はまだまだだ。薄暗い歩道を通らなければならない現状に不安を抱く住民は多い。設置場所は歩行者にも配慮して検討してほしい。
 加えて、照明灯に双葉町の「双葉ダルマ」など沿線自治体の伝統文化や風土にちなんだ飾り付けはできないだろうか。実際にそうした要望も聞く。通過する人たちへのアピールになるし、住民が古里を感じられる空間にもなる。
 避難指示が解除された地域では国道の照明灯とともに県道や町道、商店街などの街路灯や防犯灯の設置を求める声も上がっている。住宅の明かりは人が住んでいる証しであり、防犯灯や街路灯の役割も担っていた。住民が避難先から戻らない中で、夜は一段と暗く、不安に違いない。
 相双地方の町村は幹線道路に防犯カメラを設置したり、町民が住宅に防犯カメラを取り付ける際に補助したりして地域の安全を守っている。住民が自主的にパトロールしている所もある。街路灯や防犯灯を増やし、町村全体が明るくなれば、安全・安心感も高まるだろう。
 とはいえ、予算の関係で全ての要望に応えられないのが実情だ。東北電力福島支店は県内市町村に街路灯を寄贈する事業を展開している。明かりをもっと増やす仕組みとして、全国から寄付を募ってみてはどうか。
 6号国道などで展開中の「ふくしま浜街道・桜プロジェクト」が手本になり得る。協賛金で沿線に桜を植え、協賛者のメッセージを記している。寄せ書き付きの明かりは住民を励まし、復興の後押しにもなる。(五十嵐稔)

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