あぶくま抄・論説

論説

  • Check

【除染土再利用試験】納得できる環境整備を(6月10日)

 南相馬市小高区の東部仮置き場で、東京電力福島第一原発事故に伴う除染で生じた土壌を再生利用するための実証試験が行われている。環境省は先月、一連の工程を報道陣に公開したが、住民や県民の理解がなければ事業は進まない。信頼を得るためには細やかな情報開示と納得できる実証試験やモデル事業の実施、広報の徹底が必要だ。
 環境省は昨年4月、「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」を策定した。その後、再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方をとりまとめた。県内の除染土壌などを再生資材化し、関係者の理解・信頼を得ながら、安全な利用を段階的に進めるという考え方だ。
 背景に中間貯蔵施設に搬入される汚染土壌と廃棄物の総量が最大で約2200万立方メートルに上るとする推計がある。東京ドーム約18個分の量だ。そのまま全量処分することは県外に最終処分場を確保する観点からも難しい。中間貯蔵施設で管理する除染土壌の容量を少しでも減らす必要が指摘されていた。
 現在行われている試験は、仮置き場の大型土のう袋約1000袋を開封し、大きな異物を取り除く。ふるいでさらに異物を除去した後、放射性濃度が3000ベクレル以下のものを分別する。品質調整し資材化した土壌を基盤とし、その上は放射線を遮るために一般の土砂で覆う。7月までに高さ約5メートルの盛り土を完成させる。一定期間、周辺の放射線量を測り、風雨の影響なども調べる。
 実証試験などを経て除去土壌を再生資材として活用できるようになれば、長期間にわたって基本的にそのままの状態が保たれる盛り土などの構造基盤に限定して使用する方針だ。具体的には土砂やアスファルトをかぶせる鉄道や道路、コンクリートで固める防潮堤防、植栽で覆う海岸防災林などを想定している。
 ただ、土やコンクリートで覆うとしても、万が一、大災害に見舞われて崩壊した場合の安全性などを不安視する向きはあるだろう。「安心」を疑問視する住民の反発も予想される。一方で、避難指示が解除されても、土のう袋が田畑などに山積みされたままでは復興・再生への妨げになっているとの声は多い。
 除染土壌の安全な再利用は管理が必要な土壌の減量につながる。しかし、住民が受け入れるには、何より「安全」について納得できることが重要だろう。着実に実証試験を行うとともに、成果を共有する環境整備にも力を入れるべきだ。(関根英樹)

カテゴリー:論説

論説

>>一覧