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【キッズウイーク】狙い通りに進むのか(6月13日)

 政府は経済財政運営の指針となる「骨太方針」に、小中学校の長期休暇の一部を分散させる「キッズウイーク」導入を盛り込んだ。同時に親の有給休暇(有休)取得を促して親子一緒に過ごす時間を増やし、観光や旅行の促進、消費活性化につなげるのが狙いだ。来年4月からの実施を目指している。しかし、有休取得は親が勤める会社に左右される。学校だけでなく、家庭や親の仕事など多様な問題が絡み合うのが現実で、政府の狙い通りとなるのか疑問を持たざるを得ない。
 キッズウイークは夏休みなどを5日間短縮して春や秋の平日に振り分け、前後の土、日曜日と合わせて9連休にすることを想定している。地域ごとに分散して設け、観光地やレジャー施設の混雑を緩和する効果も期待されている。安倍晋三首相は5月下旬に開かれた政府の教育再生実行会議でも導入に意欲を示した。
 企業の来年度の年次有休取得で、政府は今年度比3日増を新たな目標とする方向で調整に入った。有休を増やした企業に優遇措置を講じるなどして取得促進の仕組み導入を検討する。政府は現在、3年後までに取得率を70%とする目標を掲げる。厚労省の調査によると、平成27年の取得率は全国が48.7%、県内が46.8%。18年は全国が46.6%、県内が49.4%で、10年間で大きな改善は見られない。こうした中で、観光業やサービス業、人員に余裕の乏しい中小企業に従事する親が、キッズウイークの掛け声に合わせて休日を取れるようになるとは考えにくいのではないか。
 政府は教育現場に混乱が生じないよう対応を検討する-とし、県教委は具体的な検討を今後始めるという。しかし、校内行事の日程変更などが不可避となる。共働きの家庭でも、子どもだけで過ごす時間が増えたり、学童クラブの負担が重くなったりするだろう。福島市の学童クラブ関係者は「放課後だけでなく、学校が休みの日は朝から過ごす子どもが増えるのでは」と指摘する。現状でも学童クラブの定員に空きがないため利用できない希望者が多いという。学童クラブだけでなく、地域社会や事業所が、共働き家庭の子どもをサポートする取り組みが必要になる。
 働き方改革と新たな個人消費喚起のため今年2月に始まった「プレミアムフライデー」が順調に定着しつつあるようには思えない。二の舞とならないよう、社会全体で一つ一つの課題を着実に解決していくことが実現に向けての鍵となる。(川原田秀樹)

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