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【会津の教育旅行】粘り強い誘致を(6月14日)

 会津の教育旅行来訪者は1年の最盛期を迎えている。会津若松市の鶴ケ城や七日町通り、飯盛山などの観光地はグループ単位で歩く小中学生、高校生の姿があちこちで見られる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故直後の平成23年度に100校にまで落ち込んだ会津若松市への教育旅行来訪学校は、28年度に588校にまで回復した。年ごとに増加している。今後も粘り強い誘致活動を続けていきたい。
 会津若松市がまとめた28年度の来訪学校の都道府県別内訳は宮城県が309校、新潟県が79校、千葉県の48校と続く。震災前の22年度に358校だった宮城県は8割以上にまで回復した。これに対して新潟、茨城の両県は半数にとどまる。79校が選んでいた埼玉県は3分の1の29校となっている。
 自主避難を含め避難者が比較的多い隣県や一時的に双葉町の役場機能が置かれた埼玉県には、まだ、福島県に対する不安が他県より強いと教育旅行の関係者は分析する。一方で、震災前は1校だった青森県は6校に増加した。実績のなかった長崎、福岡、熊本、宮崎の九州4県は各1校ずつが訪れている。
 こうした動きの背景には、行政と民間が一緒に九州各地の高校を訪問している県観光物産交流協会の教育旅行誘致キャラバンが効果を上げているとみられる。修学旅行などは、訪問地を決めると、数年は訪問地を変えない特徴がある。事前調査など学校側の負担が影響しているという。となれば、震災と原発事故から6年が経過した今は、来訪校を引き戻す好機となっている可能性もある。
 教育旅行の目的や形態の変化にも注目したい。これまでは、歴史のあるお城や神社、博物館などの施設を見て回る形式が中心だったが、最近は児童、生徒が実際に体験しながら学ぶ形が増えているという。会津若松観光ビューローは、こうした動きを敏感に捉え、「体験・交流・見学をとことん楽しむ」をテーマとした教育旅行パンフレットを作製している。
 赤べこや会津絵ろうそくの絵付け、会津慶山焼や会津本郷焼といった陶芸の体験などが盛り込まれている。さらにメニューを増やして、会津の魅力を訴えたい。見方を変えれば、おいしい野菜などの農作物や冬の雪は体験型教育旅行に十分に活用できる。教育旅行来訪校を震災前にまで回復させ、さらに増やすには会津だからできる体験を生み出したい。(安斎康史)

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