あぶくま抄・論説

日曜論壇

  • Check

地域での支え合い(7月2日)

 父は「住まいは明治村たそがれ横丁」と、生前よく人に話していた。当時、ご近所には明治生まれの方々が多く、若者は少なくて先細りの気配があったからだ。現在の住民も相変わらず若者は数えるほどでほぼ昭和生まれの人々だ。
 この場所はいわき市平のいわき駅北側にある高台で、磐城平城の跡地で隣組の班名に本丸、二の丸、三の丸などのお城の名称が残る歴史の町の一角にある。いわゆるお城山と言われているところだ。
 人口は1556人、世帯数741、高齢化率は27・7%である。うれしいことに、昼間は県立磐城桜が丘高校があるおかげで若者の元気な声が響き渡る横丁でもある。
 6年前の東日本大震災では長い間、水道の供給が途絶え、水を求めて急な坂道の上り下りを余儀なくされたことは今でも住民の語り草だ。一人暮らしや高齢者世帯、車を運転しない方などへのサポートが必要となり、昔ながらの横丁の手助けが大きな支えとなった。
 2005(平成17)年の介護保険法改正で「地域包括ケアシステム」という用語が初めて使われた。これは厚生労働省のホームページによると、地域における「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つのサービスを一体的に提供できるケア体制を構築しようというものだ。同じく、「自助、互助、共助、公助」から見た地域包括ケアシステムというものもある。特に「互助」は相互に支え合うという意味で「共助」と共通点はあるが、大きな違いは制度的に費用負担が裏付けられていないということだ。つまり自発的な助け合いをすることで、主に地域住民やボランティアという形に支えられている。
 城山地区では震災後の2012年9月に独自の見守り隊を結成し、一人暮らしの高齢者の見守り活動を始めた。見守り活動は支え合い活動となり「安心して暮らせる町づくり」を目指している。
 一昨年、いわき市住民支え合い活動づくりモデル事業に応募したことを契機に、33人からなる「城山結いの会」を組織し、活動は本格的になった。主な活動は声掛け、話し相手、掃除、電球交換や高所の片付けなど。そのために、前もって対象者各人の同意を得て、防犯、自然災害、火事などに関してお互い助け合うことができるようにしてある。重要なのは家族構成や緊急連絡先などの個人情報を会長が責任を持って管理しているということだ。この地区では「孤独死」などの問題は起こり得ないと自負している。
 2025年には第一次ベビーブームと呼ばれた1947~49年生まれの「団塊の世代」全てが75歳以上の後期高齢者になる。高齢になればなるほど、住み慣れた地域で自分らしい人生を全うできることがいかに幸せかを考えると、希薄になりがちな地域の支え合いの意義を痛感する。(玉手匡子 磐城桜が丘高校同窓会長)

カテゴリー:日曜論壇

日曜論壇

>>一覧