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コンクリートを作る(7月16日)

 コンクリートはセメント、水、砂と砂利・砕石を練り混ぜて作る。その結果、セメントと水の化学的な水和反応によってできるセメント水和物が接着剤となりコンクリートが固まる。
 コンクリートを作るには、セメントと水の分量が重要だ。米を炊く時、水の分量を間違えるとおいしさが損なわれるように、固まったコンクリートの強さや長持ち具合は水の量に影響される。
 水和反応に必要な水の量はセメントの質量100に対して約25とされる。しかし、その水量でコンクリートを練り混ぜてもパサパサで、型枠に流し込むことはできない。そこで一般的には、その2倍程度の水を加えている。
 また、コンクリートを練り混ぜると空気の泡(気泡)が混じるので、施工に際しては振動を加えるなどして気泡を除いている。一方でコンクリートを長持ちさせるため、練り混ぜによる気泡とは別に、混和剤を使って目には見えないほどの微細な気泡を含ませる。ただし、コンクリートに含まれる空気の合計量については規格によって上限値が定められている。
 それでも必要以上の水を使っているので、余分な水はコンクリートが固まった後、乾燥に伴って蒸発し、水が抜け出た部分は微細な空気の穴として残る。
 このように固まったコンクリートの組織はセメントの水和物、砂、砂利・砕石、気泡による隙間で構成される。そのためコンクリートは小さな穴を多く持つ多孔質材料と呼ばれる。小さな空気の穴は連続しているので、そこから水などが浸入する。建物外壁の塗装、タイル張りなどの仕上げは美観を良くし、それを防ぐ役目も担う。コンクリートがむき出しの打ち放しの構造物では表面をち密にする材料や、水をはじく材料を浸[し]み込ませる処置がされている。
 コンクリートから水が蒸発する時には乾燥収縮が起こり、ひび割れの原因になりやすいため大面積のコンクリートの壁や舗装道路には所々に工夫をこらした切り込みを設けて、ひび割れを吸収する。
 また、コンクリートはセメントの水和反応で固まるので、その速度は寒い時には遅く、暑い時には早くなる。どんな時期でも良質のコンクリートを作るために、寒中コンクリート、暑中コンクリートという施工指針もある。
 強くて長持ちするコンクリートの条件は、密度が高く、隙間も少なくて収縮が小さいコンクリートということになる。それを可能にするため、水の量が少なくても型枠に流し込める程度の流動性を与える混和剤や、収縮が小さくなる混和剤が開発されている。
 コンクリートは社会基盤を支える建設材料であり、要求性能は多岐にわたる。建設される構造物の置かれる環境もさまざまだ。技術者は要求性能が得られるよう、使用材料の組み合わせや施工方法などを工夫しながらコンクリートを作っている。(出村克宣 日大工学部長)

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