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涼風そよぐ 穴場活用 三島の滝谷 特産開発、誘客へ

 三島町滝谷地区の住民有志は地区内にある「滝谷風穴(ふうけつ)」を活用した地域活性化に乗りだす。真夏でもひんやりと涼しい天然の冷蔵庫を生かし、観光客の呼び込みと新たな特産品開発を目指す。第1弾として17日に風穴をはじめ、宿場として栄えた地区内の史跡を巡るモニターツアーを開催する。全線復旧が決まったJR只見線と連携した観光振興にもつなげる。

 うだるような暑さの中、戦国時代に巌谷(がんこく)城のあった下舘山の麓の岩肌から冷たい風が吹き出す一角がある。滝谷風穴は大正時代の農商務省の記録に養蚕業を営む住民が蚕の卵の保存に活用していたとある。「天然の冷蔵庫を地域おこしに役立てられないか」。滝谷活性化委員長の目黒常広さん(69)は地域に眠る宝を生かしたいと数年前から思いを温めてきた。
 転機は2014(平成26)年に訪れた。当時、区長を務めていた目黒さんのもとに、文献で滝谷風穴を知ったという研究者が訪ねてきた。同年に長野県で初めて開催された全国風穴サミットを紹介され、目黒さんが活性化のヒントを探ろうと足を運んだ。滝谷風穴を使っていた養蚕農家を曽祖父に持つ佐久間宗一さん(69)=NPO法人まちづくりみしま代表理事=に協力を呼び掛け、活用策を練ってきた。
 養蚕の衰退とともに風穴の存在は忘れ去られ、かつて蚕の卵を保管していた小屋も廃れた。目黒さんらは昨年、冷風が吹き出す場所に3平方メートルほどの小さな小屋を試験的に建設した。
 冷風を室内に取り込んで小屋の室温は真夏でも5、6度に保たれ、食品の保存に適していた。みやした蕎麦(そば)と豆腐の会長も務める佐久間さんが実験的にそばを寝かせ、民間企業にうま味成分検査を依頼すると、通常保存と比べて塩分が減り、うま味が増すとの結果が出た。新たに「風穴ブランド」として地場産品を売り出す構想が浮上した。
 今後は低温に保たれる風穴小屋を利用し、玄米やみそ、日本酒、焼酎などを保存し、味の変化を調べる。来年度にも目的に合った大きさに小屋を建て替え、「風穴そば」など新たな特産品を生み出す計画だ。本格的なツアーも開催する。
 モニターツアーには町内外の約20人が参加する予定。JR只見線滝谷駅から徒歩で風穴に向かうほか、観音像33体が安置されている石仏群、戦国時代に使われたのろし台など地区内の名所旧跡を巡る。滝谷集会所では、佐久間さんが風穴で保存したそばを振る舞う。
 町内には只見線の絶景で人気の第一只見川橋りょうがあり、中国や台湾などから年々観光客が増加している。滝谷風穴は滝谷駅から徒歩20分ほどで、沿線の新たな立ち寄りスポットとして只見線人気と連動した観光振興にも結び付ける。
 目黒さんは「本格的な活用に向けて県道沿いにある風穴の出入り口の整備を進めたい」と話す。佐久間さんは「地域資源の風穴を生かし、三島町の魅力を高めたい」と意気込んでいる。

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滝谷風穴の冷風を取り込む小屋の脇で思いを語る目黒さん(右)と佐久間さん
滝谷風穴の冷風を取り込む小屋の脇で思いを語る目黒さん(右)と佐久間さん

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