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国頼みの補修限界 檜枝岐村、基金創設へ

 尾瀬が日光国立公園から独立し、「尾瀬国立公園」となって今月30日で10年を迎える。尾瀬の利用と保護に向けた施策の指針となる「尾瀬ビジョン」に基づき、官民が一体となって施設整備や、野生鳥獣による食害の対策などを進めてきた。一方で異常気象による環境の変化、施設の老朽化、利用客の減少など新たな課題も生まれている。尾瀬国立公園の歩みと今後の展望を探る。

 「まさに『天上の楽園』だ」。檜枝岐村の中央にそびえる会津駒ケ岳(2、133メートル)の山頂付近にたどり着いたハイカーが感嘆の声を上げる。広大な湿原が目の前に広がり、ハクサンコザクラやイワイチョウなどの花が彩りを添える。絶景を堪能できる名峰として知られ、近年は全国から年間1万人前後が足を運ぶ。
 入山者が増える一方で、木道の老朽化が進んでいる。破損が目立ち、登山客は湿原の一部に足を踏み入れざるを得ない。傾くなど不安定な場所もあり、足を滑らせる人もいる。補修は管理主体である環境省の役目だが、予算不足などで追い付いていないのが実情だ。星光祥村長は「環境保護と登山客の安全確保のため、木道の補修は緊急を要する」と訴える。

 湿原の荒廃を防ぐ木道は尾瀬の保護に欠かせず、維持・管理は課題だ。尾瀬は土地ごとに所有者が異なり、国、県、電力事業者などがそれぞれ補修の役割を担う。ただ、補修費は1メートル当たり約13万円かかるとされ、官民とも財源の捻出に頭を痛めてきた。
 会津駒ケ岳は尾瀬国立公園の誕生に合わせて編入されるまで、村が独自に木道を整備していた。年間にかかる費用の平均約1000万円のうち、過疎債などによる国の支援金を差し引いても3割ほどは自主財源から持ち出していた。人口約600人の村には負担があまりに大きく、協議の末、環境省が管理を担うことになった。
 ただ、会津駒ケ岳で近年行われた整備は登山道にある階段の一部などにとどまる。環境省は「予算が限られる中、利用度が高い尾瀬中心部の木道補修を優先せざるを得ない」と説明する。村の関係者は「国には尾瀬沼ビジターセンター再整備など大きな事業を進めてもらっている。これ以上、強く求められない」と打ち明ける。

 「国に頼るだけでは状況は変わらない」。村は新たな基金の創設に乗り出す方針を固めた。今秋にも尾瀬の自然保護事業に賛同する全国の人から寄付を募り、木道の整備費などに充てる。尾瀬や福島に関わる全国の企業からのふるさと納税の活用も検討している。約5年かけて3000万円を集め、村が主体となって山頂付近の木道を補修する計画だ。環境省によると、国立公園の保護では国内でも先進的な取り組みになるという。
 星村長は「村民が守り続けた会津駒ケ岳の自然を後世に受け継ぐため、前面に立って協力を呼び掛けていきたい」と言葉に力を込めた。

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イワイチョウが見頃となっている会津駒ケ岳の湿原
イワイチョウが見頃となっている会津駒ケ岳の湿原

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