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【高速道路、米沢へ】経済圏拡大の好機(9月14日)

 東北中央自動車道の福島大笹生インターチェンジ(IC、福島市)と、米沢北IC(山形県米沢市)間(35・6キロ)が11月4日に開通する。福島市から米沢市までの所要時間は13号国道より約20分短縮され、人の交流や物流が活発になる。県境を越えた新たな経済圏が膨らむ好機をしっかり生かさなければならない。
 福島大笹生-米沢北間は国土交通省が整備する「直轄高速」で、開通後は無料開放される。13号国道は豪雪地帯の栗子峠を通るため冬期間は雪による交通障害を受けやすい。風雪や大雨による災害発生の恐れがある場合には、通行止めにもなる。東北中央道の栗子トンネルは東北地方で最長となる延長8972メートル。悪天候の影響をほとんど受けず、年間を通して安全性と快適性が向上する。
 米沢市では開通に対する期待が高まっている。米沢商工会議所によると、8カ所の温泉街は冬期間の観光客増を見込む。沿線の工業団地の企業は製品を安定的に輸送できる利点を生かして取引先の拡大を狙っている。10月15日には、一部種目のコースを市内の東北中央道に設ける「マラソン&サイクリング大会」が開催される。地元の各種団体による実行委が主催し、約1300人が出場を申し込んだ。
 東北中央道の起点となる相馬と福島、米沢の3商工会議所は今年2月から、それぞれの会議所報に観光情報コーナーを設けている。8月に福島市で開かれた「福島わらじまつり」には、相馬野馬追の騎馬武者と米沢藩古式砲術保存会の鉄砲隊が開通前の記念企画として参加した。
 都市間の交流が活発になることが期待される一方で、福島大笹生-米沢北間の開通は、米沢市が東北中央道で首都圏と直結することを意味する。「米沢市民は東京を向いている」と指摘する関係者もいる。現状では本県側に比べて米沢市側の熱意、期待がはるかに大きい。有効な手段を打たなければ、福島市は単なる通過地になってしまう。
 好機を逃してはならない。米沢市と連携して、県北地方も含めた一帯の観光地として売り込む工夫が大切だ。両市の温泉や歴史・文化、ともに特産品にしている果物を掛け合わせた観光商品が考えられる。米沢市からの買い物客も呼び込みたい。企業間の新たな連携も始まるだろう。互いに通勤圏にもなり得る。官民一体となって大きなチャンスを生かす必要がある。開通まで2カ月を切った。効果的で強力な取り組みが早急に求められる。(川原田秀樹)

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