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【敷地内禁煙】郡山の対策に注目する(9月23日)

 郡山市が12月1日から市役所、公民館など市の公共施設の敷地内を禁煙とする。他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙を防止するためで、建物内だけでなく敷地内全てを禁煙とするのは県内の自治体では初めてだ。市民の健康増進や良好な施設環境づくり、喫煙者のマナー向上に向けて大きな前進となるか、成果に注目する。
 市は3月に市職員安全衛生委員会から受動喫煙防止に関する提言を受け、対策を検討してきた。7月に行ったインターネット調査で市施設の敷地内禁煙に「賛成」と答えた市民が82・3%、「反対」が9・2%だったことも踏まえ、12月からの実施を決めた。道路を除く市の公共施設が対象で、公用車内も禁煙とする。
 受動喫煙防止を巡っては東京都が2020年東京五輪・パラリンピックに向け、多数の人が利用する施設の屋内を原則禁煙とする罰則付き条例の制定方針を今月上旬に表明した。飲食店などを含めるもので、対策強化の法改正がなかなか進まない国に先んじた動きと評されている。
 ただ、都条例案は官公庁についても屋内禁煙としており、この点では敷地内禁煙を掲げる郡山市の対策は、より踏み込んだ内容と言える。他の自治体が関心を寄せ、各地に波及する可能性がある。先行例として着実な取り組みが求められる。
 成否は市民の理解にかかっている。市の対策は罰則を伴わない指針として制定されたこともあり、いかに多くの人の協力を得られるかが鍵となる。施行までの間、あらゆる機会を捉えて受動喫煙の健康への害と対策の必要性を繰り返し訴え、周知する努力が欠かせない。
 国立がん研究センターによると、受動喫煙で肺がん、脳卒中になる危険性は、受動喫煙がない場合に比べてともに約1・3倍になる。また、筑波大などによる大規模疫学調査で、受動喫煙にさらされる程度の高い人は、低い人に比べて大動脈の病気で死亡する危険性が二倍以上に高まることが明らかになった。健康被害は深刻だ。
 受動喫煙防止は国民の健康を守る上で重要課題だが、喫煙自体は違法ではない。嗜好[しこう]品として楽しんでいる愛煙家は少なくない。条例、指針などでの規制に対してはさまざまな考えがあるだろう。最後は個人の自覚とマナーに頼らざるを得ないところがある。一服の前に、まず周囲を気遣う-。煙ではなく、そんな優しい空気で満たされた社会にしたい。(佐藤研一)

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