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【復興施設の将来】経営健全化が不可欠(9月25日)

 「ふくしま医療機器開発支援センター」(郡山市)の今年度収入見通しが9月現在で当初予定の6%にとどまるという深刻な事態が明らかになった。施設を整備した県は経営見通しの甘さを認め、てこ入れに乗り出す。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を目指してセンター以外にも多くの施設が国や県などによって整備、計画された。産業の立て直しと県民の暮らし向上に必要との判断があったためだが、経営が成り立たなければ目的達成はおぼつかない。運営費用の負担増大は県財政を圧迫しかねない。各施設とも健全経営が不可欠だ。
 県は今年度のセンター運営費を約6億円、収入を約2億8000万円と見込んだが、9月時点で見通せる収入はわずか約1600万円。県は不足分を補うため指定管理者の「ふくしま医療機器産業推進機構」への委託料を約3億1800万円増額する方針だ。公認会計士や医療機器メーカーの関係者を交えた専門家会議を10月初旬にも設け、中長期的な経営改善策をまとめる考え。内堀雅雄知事は「経営改善に努力する」と強調している。
 お粗末と言われても仕方あるまい。民間企業なら経営が立ちゆかなくなる事態だ。センター整備には国の補助金約134億円を充てた。国の資金を活用できたが故の見通しの甘さが県になかったか。経営責任を棚に上げたままでの公金の安易な追加支出は認められない。課題を徹底的に洗い出すべきだ。
 センターは医療機器産業発展に寄与する拠点として大きな期待を集め、昨年11月に開所した。開発から事業化まで一体的に支援する国内初の施設とされる。県はドイツの民間認証機関と連携して世界への飛躍を期す。郡山市も市勢進展の中核に位置付ける。しかし、肝心のセンター経営が危ういようでは目算は狂いかねない。影響は大きい。
 県はロボットや廃炉など新産業の先進地域を形成しようと福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想を推進している。浜通りを中心に施設が建設される。福島医大では昨年、「ふくしま国際医療科学センター」が全面稼働し、大学は人員、施設とも規模が拡大した。
 成果を上げ、本県の経済・産業・医療の発展充実につなげてほしい。復興支援をしてくれた県内外の人たちにも果実を還元していきたい。安定経営が全ての大前提となる。巨費を投じた国、整備主体の県は大きな責任を負う。「箱物行政」の展示場になってはならない。(鞍田炎)

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