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【安倍首相解散表明】政局最優先でいいのか(9月26日)

 安倍晋三首相が28日の臨時国会冒頭に衆院を解散すると表明した。2019(平成31)年10月に予定される消費税率引き上げによる税収の一部使途の変更という政策判断を国民に問うためという。これまで自民党でも議論されていない論点であり、「大義なき解散」という野党などからの批判をかわすために急ごしらえした理屈に見える。
 少子高齢化への対応が待ったなしの課題というのはもっともだ。緊迫の度が増す北朝鮮情勢への対応に向け、政権が安定して対応するための時間を稼ぎたいという目的を理解する層もあるはずだ。
 それでも8月の内閣改造後、何の実績もなく、所信表明演説もないまま臨時国会の冒頭で解散する判断は、森友・加計問題などの追及を逃れ、野党や新党の準備不足のうちに-という狙いだと多くの有権者が感じている。国民の支持を得ている自党が国政で存分に働けるよう、認められている専権を最もよいタイミングで行使するのは安倍首相としては当然なのだろう。しかし政治家の決断は、政局最優先でいいのだろうか。
 安倍首相は2014年の前回衆院選も、昨年の参院選も消費増税の延期を唱えて大勝した。国民への約束を反故[ほご]にすることを争点にして選挙に勝ってきた。
 「一強」のおごりからか、友人や身内が絡む疑惑が生じ、自身が招いた不信によって都議選では大敗。記者会見で頭を下げて反省して見せた。しかしその後、約束した「真摯[しんし]な説明」があったとは思えない。
 昨日の安倍首相の会見に先立つ3時間半前、小池百合子東京都知事は自ら代表となって国政新党「希望の党」を立ち上げると表明した。こちらも政局に敏感だ。そして、政局を見ながら選挙の有利を探る離党者や国政希望者を取り込もうとしている。
 安倍首相は会見で改憲について触れなかった。安倍政権はこれまで、集団的自衛権に関する憲法解釈の変更など選挙で大きな争点としなかった政策課題に大きなエネルギーをつぎ込む例が多かった。今回、急に持ち出した「生産性革命」と「人づくり革命」への本気度はどうか。
 有権者も政治の局面を見せられて判断することになる。しかし、判断の根拠はそれだけでいいのか。政治への信頼性も強く問われるべきだ。
 日本の将来、自分の未来にとって最も望ましい政権は何なのか。どの指導者なら危険な道を避けてくれるのか。しっかり見極めなければならない。(佐久間順)

カテゴリー:論説 , ふくしま衆院選

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