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贈り物を包む(9月27日)

 素晴らしい包装は中身への期待と価値を高めるようだ。漫画「サザエさん」に笑いを誘う一作がある。フグ田マスオさんから立派な包装のお中元がある家に届く。主人は当初マスオさんを持ち上げていたが、期待に程遠い品物であることが分かった途端、人物評を下げてしまう。
 逆のケースは県内のとある酒販店だ。客が買い求めた酒瓶を何枚も重ねた新聞紙で丁寧に包んでくれる。新聞紙の保冷力が酒を適温に保ち、紙の厚さが持ち運び時の不測の衝撃を和らげるという。客と品物への配慮が栓を開けた一杯を一層おいしいものにする。
 観光庁は先日、昨年より1カ月半早く訪日外国人客(インバウンド)が2000万人を超えたと発表した。東北6県の今年上半期の外国人客数も過去最高を記録した。県はインバウンド対策費を補正予算に計上、今が誘客に向けた知恵の絞りどころなのかもしれない。
 鎌倉、室町時代の礼法をルーツにした品物を包む慣習は江戸時代に庶民に広がり深みを増したとされる。もらい手がどう感じるかという想像力が育てた文化だ。福島の何に喜びを感じるか。本県の魅力を、迎える立場の真心で包み込み、訪問客への贈り物としたい。

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