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置いてけ堀(9月29日)

 5年もトップを務めた末の「国難突破解散」、都政を投げ出しそうな「リセット」新党、「ご乱心」にも見える合流表明と、ジェットコースターのような政治の激流にあっけにとられるばかりだ。地方や被災地の復興が置いてきぼりにされないか心配になる。
 置いてきぼりは「置いてけ堀」とも同意で、語源につながる奇談が残る。江戸時代の本所、現在の墨田区あたりは水路が多く魚がよく釣れた。たくさん釣って帰ろうとすると堀の中から「おいてけ、おいてけ」と不気味な声がして、無視して帰ると魚籃[びく]の中の魚はいつのまにかなくなっていた。
 いろんな筋立てがあるようだが、「釣った魚を置いていけるか」と持ち帰った男が柳の下で出合う女も、屋台のそば屋のおやじものっぺらぼう。ようやく着いた長屋で「あんたの見たのはこんな顔か」と振り返った嫁も…。男は腰を抜かした。
 民主党時代からの支持者も、世論調査で最多の「支持政党なし」の人も置いてきぼりの気分だろう。のっぺらぼうとは言わないが、解散で首になった議員がどこか引きつったような顔で票を「おいてけ、おいてけ」と言っている。こちらは少し頭を冷やして投票日を待とう。

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