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【働き続ける契約へ】職場の備えを速やかに(9月30日)

 働く期間を定められている労働者が安心して働き続けられるようにする「無期転換ルール」は来年4月に本格的に始まる。福島労働局はホームページに掲げた残りの日数を日ごとに更新している。29日現在の表示は「あと184日」。企業も働く人も職場の備えが整っているかを速やかに確かめる必要がある。
 ルールはパートタイマーや契約社員、アルバイト、準社員などの呼び方にかかわらず、有期労働契約で働く全ての人が対象となる。労働契約法の改正によって、有期契約期間が同一の事業主との間で、通算5年を超えて反復更新された場合は、働く人からの申し込みによって、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるようになった。その申込権を得る人が来年4月から本格的に出始める。申し込まなければ、有期契約のまま仕事を続ける。
 厚生労働省はルールを知らせる手引で、取り入れる際の主な手順として(1)有期社員がどのように働いているかの実態を調べる(2)社員の区分ごとに任せる仕事を考える(3)適用する労働条件を検討し、就業規則を作る-などを挙げる。職場の実情に応じた労使の丁寧な話し合いが欠かせない。
 厚労省は手引で「ルールを避けることを目的として、申込権が発生する前に雇い止めをすることは、法の趣旨に照らして、望ましいものではない」と注意を促す。転換後の主な型として「契約期間のみを変更する」「勤務地や労働時間などの労働条件に制約を設けた正社員(多様な正社員)に転換する」「一般に正社員や総合職と呼ばれる『正社員』に転換する」などが想定される。企業は人事管理の在り方を幅広く見直し、人材の確保や育成につながる機会の一つと位置付けるべきだ。
 企業や働く人の認知度と対応はまだ十分ではないといわれ、厚労省は9月中旬に使用者団体に円滑な導入を要請した。福島労働局は説明会やセミナーの開催、市町村の広報誌での周知、ルールを先取りした企業の紹介などに努めている。県非正規雇用労働者待遇改善支援センターには相談や助言の事業を委託している。労働組合に加入していない人や労働組合がない職場への働き掛けも重要となる。
 福島労働局にはルールそのものや、個別の事例への問い合わせが寄せられる。働く人は契約期間に加え、基本給や手当、福利厚生、教育訓練の改善に関心を持つ。「同一労働同一賃金」を含む働き方改革の考え方を無期転換後の待遇にも反映できる仕組みと努力が大切だ。(安田信二)

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