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アウフヘーベン(10月1日)

 「排除の論理」と言われた。1996(平成8)年、菅直人、鳩山由紀夫氏らは民主党を結成した際、合流の意向を示していた武村正義氏らの入党を拒んだ。寄り合いとの批判を避けようとした。約20年後、選別される側に回るとは菅氏も思わなかったに違いない。
 県立博物館長の赤坂憲雄氏は1991年に出した「新編・排除の現象学」(筑摩書房)で、多数が少数派を排除していくメカニズムを当時の社会的事象を取り上げながら論述した。「いじめ」「村八分」などの行為は人間の本性なのかと考えさせられる。同時に無慈悲な排斥に対する赤坂氏の静かな憤りが論考を貫く。
 希望の党の小池百合子代表は、衆院選で民進党の立候補予定者全員を受け入れることは「さらさらない」と断言した。にべもない。安全保障などの政策一致を求める純化路線は功を奏するか。基準を譲らないのは絶対的な主導権を示したいからだろう。
 「アウフヘーベン(止揚)」。小池氏が好んで使うドイツ語は、辞書によれば衝突する2つの概念をいっそう高い段階で統一することだ。排除ありきではないとも受け取れるのだが。ウチのばあさんなら「なんだそれ、わがんね」。

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