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【水素エネルギー】活用社会の先駆県に(10月3日)

 南相馬市で民間として県内初のスマート水素ステーション(SHS)が先日、稼働し始めた。水素エネルギーは水の主成分である水素を利用し、最後は水になる究極のエコエネルギーとされる。県内では水素社会の実現に向けた動きが活発化している。本県が日本だけでなく世界の先駆県となるために県民一人一人が水素エネルギーへの理解を深め、積極的な活用を考える必要がある。
 今回稼働したのは、相馬ガスホールディングスの燃料電池車向けの水素供給基地だ。県内では、郡山市が6月に市役所敷地内に設置したSHSに次いで2カ所目となる。郡山市は市を挙げて水素社会の実現を目指し、市民の関心を高める狙いもあって市役所に設置した。民間では、福島市のアポロガスが常設型とは異なる県内初の移動式水素ステーションを来年3月に稼働させるため準備中だ。
 国や県は次世代エネルギーの目玉として水素を捉える。国の福島新エネ社会構想に基づき浪江町には世界最大規模の水素製造工場が建設されることが決まった。太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用して水素を製造し、2020年の東京五輪・パラリンピックでの供給を目指す。郡山市の産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所は、再生可能エネルギーを用いた高効率の水素製造システムを開発した。県は新たに水素ステーションなど関連設備の安全性確保に向けた管理システム開発にも乗りだしている。
 なぜ、水素が注目されるのか。地球上に無尽蔵に存在し、宇宙ロケットに使われるほどのパワーを持ち、燃焼すれば水に戻る。燃料電池で電気に変えられるために、ためて運んで使うこともできる。家庭用エネルギー源も含め次世代の「電力網」となる可能性もある。水素循環社会や燃料電池に関する実証実験は既に国内各地で30年以上前から積み重ねられてきた。震災と原発事故以前から国は、次世代エネルギーとして普及への動きを見せていたが、大災害の発生が皮肉にもさらに加速させる結果となった。
 水素ステーションは県内で2カ所目だが、全国では既に約110カ所で稼働している。本県が次世代エネルギーの先駆県となるためには、普及のための国の法整備や、県民への浸透に向けた県の取り組みが絶対的条件となる。ただ何より県民自身が関心を持って関わろうとする姿勢が重要だろう。次世代のために自らは何ができるのか。考える価値はある。(関根英樹)

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