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絶叫する前に(10月9日)

 番記者を引き連れ、国会内をさっそうと歩く。まるで、時代の風をまとっているようだった。2009(平成21)年、政権奪取を果たした旧民主党の政治家たちだ。バブル崩壊後、国を覆う閉塞[へいそく]感を吹き飛ばしてくれる。そんな予感に満ちていた。
 ところがだ。政策を実現する能力に疑問符が付く。沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場について、「最低でも県外」という公約はあっさり反故[ほご]にされた。震災を巡る対応では、いら立ちばかりが目立った。看板は「民進党」、さらに「希望」と移り、もう一度政権を目指すという。前原誠司代表は「野合」の批判にどう答えるのか。
 権力の座に返り咲いた5年前、安倍晋三首相の脳裏には何がよぎったのだろう。体力の限界を感じ、自らの内閣に幕を引いた苦い経験だったか。挫折は二度と味わいたくないはずだ。突然の解散劇には、政策実現の大義より保身の思惑が透けて見える。消費税の使途変更には、党内からも疑問が上がる。
 衆院選はあす公示される。福島では仮設住宅の暮らしが続き、避難区域の里山は荒れたままだ。「われわれに一票を」と絶叫する前に、古里の未来を示してほしい。それが県民の願いだ。

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