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【博士峠バイパス】早期完成に期待(10月12日)

 会津地方のほぼ中央に位置する昭和村と会津美里町を結ぶ401号国道博士峠バイパスの工事が始まった。長年にわたる地元の悲願の実現に向けた第一歩として喜びたい。開通すれば、地域住民の命と生活を守る大きな役割を果たす。県は最短でも5、6年後の完成を見込んでいるが、早期の工事完了に最大限の努力を求めたい。
 バイパスは昭和村小野川から会津美里町松坂までの約7.4キロの区間で、81カ所あった急カーブを解消した。車道部分の幅も6メートルを確保し、3.6キロあった5.5メートルの狭い部分が無くなる。半分以上の4.503キロが「(仮称)博士トンネル」となっている。「博士トンネル」は県管理のトンネルとしては下郷町と西郷村を結ぶ289号国道「甲子トンネル」の4.345キロを上回り、県内最長となる。
 トンネルが開通すれば、これまでは冬期間になると通行できなかった区間が解消される。積雪で通行止めとなった場合、昭和村役場から柳津町を経由して会津若松市中心部まで約75キロの所要時間は約1時間半かかっていたが、バイパスの開通によって約25分短縮される計算だ。雪のない時期でも約15分早い55分程度で結ばれる。
 会津地方は高齢化、人口減少の課題を抱えている。安心して生活するためには、救急を含めた医療環境の充実が大きなポイントとなる。2010(平成22)年から3年間の昭和村からの救急搬送先をみると、全体の68%が会津若松市だった。開通によって安心感は飛躍的に増し、若い世代の定住にもつながる。
 バイパスの開通は観光面でも新しい可能性をもたらしてくれるだろう。会津若松市と南会津町を結ぶ121号国道や只見川沿いに柳津、三島、金山、只見の各町を通る252号国道など比較的交通量の多い国道を補完する役割も担える。将来は南会津町南郷との連携強化にもつながる。
 南会津では、会津縦貫南道路の下郷-田島間が来年度にも着工し、奥会津は、JR只見線が2021年度の全線再開通を目指して、来年度から工事が始まる見通しとなっている。新たなバイパス工事の着工が、こうした他のインフラ整備と複合的な効果を生み出すはずだ。
 昭和村に限らず、会津地方全体への効果を、どう生かしていくか。地元市町村の枠を超えた連携を考えていきたい。南会津や奥会津には観光名所が点在しており、それぞれを結んで周遊する楽しみも増える。(安斎康史)

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