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「天神原湿原」保全へ 木道整備、教育に活用

 楢葉町は町内の天神岬スポーツ公園にある食虫植物などの自生地「天神原湿原」の保護・回復事業に着手した。今年度は各種調査で現状把握を進め、外来植物を除去して貴重な生態系の保全に努める。将来は子どもたちの環境教育の場として活用したい意向で、木道の整備などで自然に親しめる学びの場として利活用する。

 町は今年3月、庁内に再生プロジェクトチームを設け、今年度から尾瀬国立公園内にある湿原の再生と保全に実績のある企業の助言を得ながら事業に取り組んでいる。
 調査は、保全方法や利活用の検討に向けたデータ集積を目的とし、2~3カ月ごとに湿原の植生、地下水の水質や流入状況などを調べている。さらに本来、湿原に生息していない植物の除草と伐採、外来種が侵入しないよう、のり面も施工している。植物の根などを食い荒らすイノシシの侵入を防ぐ電気柵も設けた。
 来年度以降、環境回復や植生の復元に向けた具体的な手法の検討に入る。関係機関や生態系の専門家の提言などを基に、保全方法や環境教育の実践にふさわしい保護の在り方などを調査・研究していく。湿原などに生えるラン科のトキソウが消滅した経験を踏まえ、盗掘対策なども併せて講じる。
 天神原湿原は、園内のあやめ池西側に位置する約900平方メートルのくぼ地で桜の木々に囲まれている。以前、湿地帯は広範囲に広がっていたが公園整備により縮小し、一部分だけが残った。町教委によると、海に隣接する高台に湿地帯が広がっている地形は比較的珍しいという。かつてはモウセンゴケや県のレッドデータブックで絶滅危惧2類に分類されているヒメタヌキモ、準絶滅危惧のムラサキミミカキグサなど3種類の食虫植物といった希少植物が生息していた。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により、人の立ち入りが減ったことでイノシシによる植物の掘り起こしなどの被害が顕在化。乾燥化も進み、湿原自体が消滅の危機にひんしている。
 町は事業完了に数年を要するとみている。町教育総務課の渡辺信彦主査は「湿原の再生・保全に努め、町の新たな魅力に加えたい。次代を担う子どもたちが古里の自然に触れながら自然の素晴らしさ、郷土の豊かさを学べる場所にしたい」と話している。

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