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【三春・ライスレイク】つなごう姉妹都市30年(11月11日)

 三春町が米国ウィスコンシン州のライスレイク市と姉妹都市を締結して今年で30周年を迎えた。両市町の住民らは節目の年を祝って相互に訪問し合い、さらなる友好関係づくりを誓っている。滝桜の子孫木をライスレイク市に植樹しようという新たな構想も動きだした。30周年を契機に両市町の関係が深化し、交流が末永く続くことを願う。
 両市町は1987(昭和62)年、姉妹都市を締結した。前の年に英語教育助手として町教委に招かれたジーナ・シーファーさんが、語学教育だけでなく国際交流の必要性を呼び掛け、ジーナさんの古里ライスレイクとの締結につながった。
 教育・文化交流を基本に友好関係を培ってきた。中高生を派遣するアメリカサマーキャンプ事業はこれまでに11回実施した。延べ329人がホームステイをして英語を学び、米国の歴史や文化に触れた。1年間の留学生派遣事業では、40人の高校生がライスレイク高で学んだ。学校制度の違いもあって、ライスレイクから三春を訪問する生徒は多くはないが、約50人がサマーキャンプや留学を体験している。
 海外への渡航は、日常生活では得がたい経験をもたらしてくれる。留学を機に英語の語学力を高め、活躍の場を米国に求めた人もいる。ホームステイの縁を育み続ける家族もある。姉妹都市が取り持つ有形無形の財産が少しずつ住民の間に広がってきた。
 姉妹都市交流の象徴として1993(平成5)年、三春町内にライスレイクの家が建てられた。当時のライスレイク市長の家をモデルに、内装から調度品まで米国の一般的な住宅を再現している。ドアを開けた瞬間、異国を訪れたかのような気分に浸れる。宿泊機能も備え、米国でのホームステイを模擬体験できる。
 ライスレイクには1998年、日本庭園が建設された。蹲[つくばい]や枯山水[かれさんすい]を配した本格的な造りで、腰掛けのある待合[まちあい]は「瞑想[めいそう]の空間」の愛称で市民に親しまれている。数年置きに町職員らが渡米し、維持管理の指導を継続している。
 30周年は、交流の原点を見つめ直し、発展させる契機となったはずだ。一部の人の交流にとどめず、1人でも多くの人に姉妹都市を意識づけたい。実際に訪問しての交流が一番だが、現地を訪れなくてもインターネットを使った交信やビデオレターなど交流の方法はたくさんある。友好関係を次代に引き継ぎ、教育・文化交流だけでなく、経済交流まで発展していくことを期待する。(鈴木俊哉)

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