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被害者の思い(11月12日)

 朝、新聞を読むたび暗い気分になる。神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかった事件だ。9人の中には二本松市の県立高校に通う福島市の女子高生もいた。愛する人を失った遺族の気持ちを考えると、何ともやりきれない。
 犯罪や交通事故の被害者、被害者遺族の支援に取り組む「ふくしま被害者支援センター」が今年、設立10周年を迎えた。昨年1年間の支援件数は過去最多の271件に上る。性暴力被害を受けた女性の心身をケアする活動に力を入れ、支援団体としての存在感を増している。
 支援に当たるのは専門研修を受けたボランティアだ。被害者や家族から電話や面接で相談を受け、警察署など関係機関に紹介する。希望に応じて裁判所や病院などにも付き添う。どうしたら被害者の心に寄り添うことができるのか。日々、悩みながら手探りで活動を続ける。
 センターは25日に福島市で10周年の記念式典を行う。息子を犯罪で亡くした被害者遺族が講演する。座間市の事件はだれもが事件の被害者になる危険性を改めて社会に突きつけた。遺族の声に耳を傾けることが、犯罪被害者を生まない社会づくりのせめてもの一歩となる。

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