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福活ファンド(12月4日)

 元銀行員の作家池井戸潤さん原作のテレビドラマ「陸王」が評判だ。零細足袋業者が経営危機を乗り越え、ランニングシューズの開発に挑む姿が共感を呼ぶ。大手メーカーの妨害、特許を持ちながら会社を倒産させた技術者の協力、融資を渋る銀行の思惑なども描かれる。
 福島銀行などが、事業に失敗した実業家らを対象に投資する「福活(ふっかつ)ファンド」を設立して2年余りが過ぎた。県内への法人の設立・移転を条件に、再起を志す人を全国から募り、1件につき最大1億円を投資する。これまでにIT関連など5社に投資した。
 優れた経営ノウハウや技術力がありながら、連鎖倒産や資金繰り悪化などで泣く泣く事業を諦める経営者は多い。ファンドには「一度経営につまずいた人にもチャンスを与え、県内経済の活性化につなげたい」との思いがある。銀行が倒産経験者を支援する取り組みは全国的に珍しいという。
 再起を目指す経営者の諦めない姿勢は、震災と原発事故から立ち直ろうとする県民の姿に通じる。「走り続けている限り、負けはないんだ」。ドラマの中で主人公が言う。前に進もうとの思いがあれば、人生は何度でもやり直せる。

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