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【県立高改革】地域性考慮し検討を(12月4日)

 県教委は2019(平成31)年度から2028年度までの10年間で県立高の学級数を約100学級減らす方針を固めた。県内の中学校卒業者は今後、約5300人減ると見込まれる。少子化の流れを踏まえれば現実的に必要な対応をせざるを得ない。ただ、単なる数合わせで再編や統廃合を進めてはならないだろう。学力の維持・向上の側面だけでなく、学校が地域に果たす役割も念頭に置いて検討してほしい。
 県立高校改革基本計画の素案によると、地域の人口動態や地理的条件などを考慮した県立高の適正学級数を4~6学級に抑える。これに伴い、全83校・364学級を2028年度までに250学級程度に減らす。素案に基づくと、県内の基幹校は定員が削減される見通しだ。
 基幹校の定員が減っても、県教委は入学する生徒の一定以上の学力水準を維持することで、地域をけん引する人材の育成を目指している。半面、現在の定員なら入学できる学力を持ちながら、諦めざるを得ない生徒が出てくる。
 進学校の学力を高めるだけでは全体の底上げにはならない。実業系まで幅広い分野での均衡の取れた人材育成が求められる。時代の変化を見通しながら学級数の削減に合わせ、県立高の学科全体の在り方を見直す必要もある。特色や魅力ある多様な学校づくりを進めて志願先の選択肢を広げてほしい。
 県内は中山間地域を中心に3割の県立高が3学級以下の小規模校となっている。定員割れが続くと統廃合の対象になるが、学校の存廃は地域の行く末にも関わる問題だ。教育環境は子育ての重要な要素の一つと言える。身近に学ぶ場がない地域に果たして若い世代が定着するか。UターンやIターン希望者にとっての判断材料にもなる。
 来春から生徒募集が停止される相馬農高飯舘校について、県教委と飯舘村は県立高としての存続と併せ、村立での継続も検討している。村立化は独自の教育プログラムを打ち出し、村内外から生徒を確保する試みとなる。「食と農」を教育の柱に据え、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想に基づく農業関連産業や、今後の村の基幹産業に位置付けている花卉[かき]栽培などに携わる若者を育てたいとしている。
 実現すれば、卒業生が村内に定住するきっかけにもなる。こうした学校と地域の将来を結び付ける新たな視点で小規模校の価値を見いだす発想も改革の中に取り入れてはどうか。(五十嵐稔)

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