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冬鳥の主役(12月10日)

 福島市北部の松川に架かる川寒橋から、羽を休めるハクチョウが河畔に映える。「けさは何羽、増えたかな」。ハクチョウが福島盆地に舞い降りるようになったこの季節、楽しみにしながら橋を渡る市民もいる。
 さまざまな鳥が越冬のため、はるばる日本に飛んでくる。だが、冬鳥の主役はやはりハクチョウだ。阿武隈川沿いにある「あぶくま親水公園」は10年前まで、市民や観光客が餌やりを通してハクチョウと交流できる場所だった。おこぼれ目当てに他の鳥まで集まった。カモの大群に囲まれ苦笑いする親子もいた。
 その餌やりは鳥インフルエンザ感染防止のために2008(平成20)年秋から中止されている。近づくことも控えなければならない。それでもハクチョウは毎年、けなげに飛来する。餌を求めてか、阿武隈川だけでなく支流の松川にも現れる。人からもらえる餌はなくなったが、水の中に長い首を根元まで入れて探している。
 川面にたたずむハクチョウの姿は凜[りん]として、冬の景色に溶け込む。羽を広げるしぐさも優美だ。「コーコー」という鳴き声とともに大空に飛び立てば思わず見上げてしまう。交流はできなくても温かく見守りたい。

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