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【スマートIC設置】小高区に早期実現を(12月12日)

 南相馬市小高区に新たなスマートインターチェンジ(IC)の設置を求める動きが活発化してきた。南相馬市は県や国、東日本高速道路など関係機関を交えて2月に勉強会を立ち上げ、今月には5回目の会合を開いた。国などへの、復興に絡む道路や高速道路などの交通インフラ整備の要望書には小高スマートIC設置が盛り込まれている。被災地でのスマートIC設置は避難住民の帰還促進や新たな住民の定住につながる。一日も早い設置に着手すべきだ。
 2015(平成27)年3月に仙台まで全線開通した常磐自動車道は、交流人口の増加や企業立地など大きな波及効果をもたらしている。企業立地などによる経済的効果は約2000億円に上るとする試算もある。ただ、高速道路が地域の発展と密接につながるためにはICの存在が欠かせない。国土交通省によると日本で高速道路の平均ICの間隔は、欧米諸国の平地部を走る高速道路に比べ約2倍長いという。本格的なICではなくても、こうした課題を解決する一つの手段として建設コストが安価で簡易に出入りできるスマートICがある。ところが、地域発展に結び付けたい全国の自治体からの設置要望が殺到しており、すぐには認められないのが現状だ。
 スマートIC設置が決まるまでには、地方自治体での検討を経て国が必要性を確認する。その上で準備会を設け、概略検討、詳細検討を行い、地区協議会を開催し、実施計画書の策定・提出という手続きを踏まなければならない。当然、利用台数も検討される材料になるだろう。
 東京電力福島第一原発からほぼ20キロ圏内にある南相馬市小高区は、昨年7月に避難指示が解除されたばかりだ。震災前に約1万3000人いた住民は約2300人しか戻っていない。それでも、小高産業技術高校の開校や復興拠点施設の整備、新たな企業の進出など復興への歩みは確実に進められている。その復興をさらに加速させるのがスマートICの設置といえる。
 スマートICの設置を望む全国の自治体の要望を国は平等に調整しているとされる。だが、国には原発事故による避難という特殊事情に置かれた地域を一日も早く元に戻す責任と義務があるはずだ。そのために他の地域とは異なる判断基準があってしかるべきだ。小高区は県内の常磐道では最長の18.4キロにわたってICが設けられていない区間にあることも重要だ。住民の思いを国は誠実に受け止め、実現へ向けて行動で示してほしい。(関根英樹)

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