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希望の明かり(12月13日)

 今秋、喜多方市慶徳町の国指定重要文化財・新宮熊野神社では、「長床」に隣接する樹齢800年を超える大イチョウが例年以上に黄金色に染まった。観光客の入り込みが期待されたが先月末の大雪でキャンセルが相次いだ。師走になり黄金色の葉は散り、恒例のライトアップも終わった。長床周辺は一気に冬支度と正月を迎える準備に入った。
 長床には毎年、正月三が日で3000人を超える初詣客が訪れる。大鳥居から本殿まで続く百数十メートルの参道の両脇には昨年まで瓦灯[がとう]に守られた絵ろうそくがともされていた。今年、主催する新宮地区重要文化財保存会は態勢が整わないとして、やむなく絵ろうそくを断念した。
 だが毎年人気が高い八咫烏[やたがらす]のステッカー配布は続けられる。その長床近くに70代夫婦が今秋、そば店を開業した。かつては無農薬栽培にも取り組む農家だった。2人で長年の夢を追い、ついにかなえた。
 倉庫を改修した店内はまだ新築のにおいが残る。初めて迎える大みそかから新年にかけて店を開け、参拝者に自慢のそばを提供する。年越しそばの注文は順調だ。夫婦二人三脚で歩み始めた「最後の挑戦」は、絵ろうそくのように輝いている。

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