あぶくま抄・論説

論説

  • Check

【平均寿命低迷】健康の復興目指そう(12月15日)

 厚生労働省が発表した2015(平成27)年の「都道府県別生命表」によると、県民の平均寿命は2010年の前回調査より男女とも延びたものの男性は80・12歳で41位、女性は86・40歳で43位にとどまった。男性は順位を3位上げたが、女性は5位落とした。
 インフラや産業が復興しても、県民が健康で心豊かな生活を送れないようでは意味がない。震災と原発事故の後は避難や生活の安定が優先され、もともと課題があった県民の健康管理は置き去りになった。被災地には健康増進にも戦略的な施策が必要だ。平均寿命も健康寿命も延ばして、全国に健康復興を自慢できる長寿県を目指したい。
 1965(昭和40)年に42位だった男性の平均寿命は30年後に30位まで上がったが、2005年には42位に転落して40位台が続いている。女性の方はずっと40位前後が定位置だ。
 前回と比べた平均寿命の延びは男性が1・28歳で上から14番目に大きかったが、女性は0・35歳で下から2番目だった。がんなどの悪性新生物による死亡率の上昇が影響したとされる。
 医療・介護に依存せず自立した生活ができる期間を意味する健康寿命でみても、2013年度で男性が70・67歳(41位)、女性が73・96歳(35位)と下位にある。死因別統計でも急性心筋梗塞の死亡率が男女とも1位にあるなど各種疾患でも多くの課題を抱えている。
 今回の調査で、男性で初の1位となった滋賀県は1965年には27位だった。女性も31位だったのが4位まで上昇した。県民に運動など健康づくりのために一日15分費やすように求める「健康への1%投資運動」などを地道に続けた結果という。
 本県は震災後、「第二次健康ふくしま21計画」という10年計画をスタートさせたが、まだ成果は見えない。一方で昨年度はスマートフォンを使って県民に自発的な健康管理を促す「ふくしま健民アプリ」のサービスを開始。今年度は企業に従業員の健康を重視する「健康経営」を呼び掛ける「ふくしま健民会議」を発足させた。県はこうした取り組みが健康指標に反映されるのは少し先とみている。計画の達成度をしっかり管理するとともに、県民とじかに接する市町村や住民組織の活動を支援して地域から健康づくりのムードを盛り上げたい。
 健康は心の豊かさと表裏一体だ。高齢者が生きがいを持って生活できる環境づくりも求められる。(佐久間順)

カテゴリー:論説

論説

>>一覧