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雑感-国際情勢と相撲界(12月24日)

 今年もあと一週間で終わる。国内外を通してさまざまな出来事があった。わが国を取り囲む国際情勢は日を追って緊迫度を増しているように思われる。北朝鮮と米国は一触即発の状況にあると見る人も多い。「戦争によって物事を解決しない」という原則論が大切だと強く感じている。もし、米朝が戦争に突入したら、朝鮮半島はむろんのこと、わが国も甚大な被害を受けることは自明の理だ。国民は、常在戦場の気持ちで警戒を怠ってはなるまい。
 以前にも若干触れたが、今年の9月、米国などと核合意を結んでいるイランを訪問した。中東の地域を訪ねるのは初めてで、カタールのドーハ空港で乗り換えテヘランに入った。高村正彦自民党副総裁(安倍総理特使)らに随行したものだ。テヘランは砂漠地帯で緑は少なく、昔、世界史の教科書で習ったペルシャの地だった。イスラム教シーア派住民の多く住む地域だ。アルコールは禁止されており、街にはバーもない。高村特使と同国のロウハニ大統領との会談に列する貴重な体験をした。
 ところで、国内では、11月に入ってから大相撲の横綱の暴行事件が明るみに出て大騒動になっている。いまだ収束していない。
 この事件は、現役横綱の日馬富士関が巡業中の鳥取市内の飲食店で幕内力士の貴ノ岩関に暴力を振るって頭部に重いけがを負わせたという傷害事件だ。以前にも大相撲の世界では、部屋の親方が弟子を稽古場で「かわいがり」と称して、竹刀やビール瓶で殴る、蹴るなどした暴力事件が相次ぎ、刑事事件に発展したものもあった。
 日馬富士関は、責任を取って横綱を引退したが、被害者側の貴ノ岩関と師匠の貴乃花親方(理事)の、事件、協会への対応を巡って、一つの大きな騒動となっている。事件発生から2カ月近くなるが、マスコミ報道の激しさ、世の中の関心も収まっていない。
 私は、2012(平成24)年から2016年までの4年間日本相撲協会外部理事を務めた。当時の北の湖理事長は、肝が据わっていて、何ごとにも動じない人物であった。貴乃花理事は純粋な、曲がったことが嫌いな、いちずな人との印象を受けた。
 理事在任中に「協会内の不祥事に迅速に対応し、再発を防止するための組織」として「危機管理委員会」をつくった。私自身が委員長に就任し、協会内の規律確立と自覚の向上のため研修会も行った。ちなみにそのときの副委員長は八角理事(現理事長)だった。
 今回の事件は純粋な刑事事件であり、被害者側としては警察に被害を申告して、暴力事件の真相解明をしてもらい、関係者の処罰を求めるとともに、このような行為の根絶を考えたのではないか。警察問題になり、日本相撲協会の信用が揺らぐことにはなったが、大局的に見れば、相撲界を救った行為だったともみられるのだ。(宗像紀夫 内閣官房参与・弁護士、三春町出身)

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