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心の支え、思い出は永遠に 「かしまの一本松」伐採

 東日本大震災の津波に耐え、鎮魂と復興の象徴となっていた南相馬市鹿島区南右田の「かしまの一本松」を伐採するお別れ式が27日、行われた。立ち枯れし、一帯で県の防災林が整備されるためで、防災林の一角には一本松の種から育てた苗木が植えられる。
 地元有志らでつくる「守る会」の主催。約100人が参加した。五賀和雄会長(77)が津波により南右田行政区の全70戸が流され、54人が犠牲になったことを説明し、「この松を見るたびに大きな力をもらい、心の支えになった。震災の教訓を生かして苗木を育てていく」とあいさつした。芳見茂県相双農林事務所長と桜井勝延市長があいさつし、市民らの心の中に一本松が生き続けることを願った。
 神事の後、地元住民らが松を囲んで手をつなぎ「一本松ありがとう」を三唱した。強風の中、クレーンでつられた幹にチェーンソーが入ると、参加者は会話をやめて見入り、手で顔を覆ったり、涙を拭ったりした。
 お別れのメッセージを披露した鎌田由人さん(61)は一本松から約100メートルの場所に自宅があり、小さい頃は松の前の広場でかくれんぼなどをして遊んだ。「全てが失われたこの地域と南相馬の希望だった。力尽きてこの日を迎えたが、思い出は永遠に残る」と語り掛けた。
 五賀会長は2014年(平成26)1月から毎朝、松の様子を見守った。感慨深げな表情で切り口を見つめ、「これで最後だな。お疲れさま、ありがとう」と思いやった。
 一本松は津波で一帯にあった数万本の松が流出し、一本だけ残った。高さ約25メートル、樹齢は約100年で、守る会は伐採した松を表札に加工して地元住民や希望者に配る。

カテゴリー:今日の撮れたて

クレーンにつられて伐採され、ゆっくりと横たわる「かしまの一本松」
クレーンにつられて伐採され、ゆっくりと横たわる「かしまの一本松」

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